【海運業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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海運業界を目指す人の中には、ESの書き方で悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
コンテナ船や旅客船など、様々な船を扱い海上を移動する海運業界。
四方を海に囲まれた島国である日本では、海外諸国との貿易において非常に重要な役割を担っています。
近年は環境規制への対応のため、各企業で脱炭素化が重要視されているほか、AI化やDX化など変革の時期に直面しています。また、海運業界の職種は航海士や機関士など特殊なものも多く、業界理解を深めることが大切です。
その上で、海運業界のESでは何をアピールするべきなのか、質問に対しどのように答えるのが適切なのかを探していきましょう。
本記事では、実際に海運業界のESで出題された質問と、突破した人の解答ポイントを基に、詳しい解答例を交えてご紹介していきます。ご自身のES対策の参考にしてみてください。
海運業界の採用動向や面接対策については下記で紹介しています。
目次
海運業界のES設問例
1強みについて(2020年 日本郵船)
2興味がある事業とその理由(2021年 日本郵船)
3学生時代に最も注力した勉強について(2022年 川崎汽船)
4海上職を目指す理由(2022年 商船三井)
5趣味や特技、強みについて(2021年 NSユナイテッド海運)
設問例1:強みについて
この設問で注目されているポイントは、「自分の強みを理解しているか」「仕事への活かし方をイメージできているか」という2点です。
回答においては、自分の強みを単純にアピールするのではなく、「その強みをどのように活用できるか」という、強みの内容を深めた答え方が求められます。
強みに対する自己理解を深め、どんな性質の強みなのか、活かせる状況や役立つ方法について具体的にイメージすることが大切です。
まずは自分の強みと志望企業の業務内容を整理し、実際の仕事で強みをどう活用できるか考えてみましょう。
回答例
私の強みは、国籍を問わないコミュニケーション能力です。大学の異文化コミュニケーション学科で培った語学力と対人能力で、様々な国の人と打ち解けることができます。
在学中にはアメリカ、フィリピン、インド出身の友人が出来た他、アルバイト先のフィリピン人スタッフと親しくなり、プライベートで交流する関係を築くことができました。
この対人力を活かし、貴社の定期船事業に貢献したいと考えています。世界最大級の航路ネットワークを有する貴社では、海外拠点を経由してのグローバル輸送を行うため、他国企業とのコミュニケーションが重要になると考えます。
そこで私の強みを活かし、他国企業と円滑に連携しながら業務を進めていきたいです。また、ターミナル関連部門においても対人力が活かせると考えており、国際物流の中継地点を担う港湾サービスでの貢献も目標のひとつです。
回答においては、強みを活かして「志望企業にどのように貢献できるのか」を具体的に伝えましょう。志望企業が実際に行っている事業を踏まえ、活かせる仕事や状況をイメージするのがおすすめです。
設問例2:興味がある事業とその理由
この設問では、企業の事業内容についての理解度が問われています。企業により事業内容は様々ですが、注目するポイントを分類すると回答の軸を考えやすいでしょう。
- 事業の規模(市場規模や需要など)]
- 事業の独自性(独自サービス、差別化など)
- 事業の成長性(新規事業や先進技術など)
- 事業の拡張性(他業界、産業との関連性など)
上記のように事業内容について様々な角度から注目し、最も興味深く感じる要素について掘り下げて考えてみましょう。なぜその事業に興味を持ったのか、そこで何を実現したいのかを具体的にイメージすることが大切です。
興味深い事業が浮かばない人は、志望理由や企業でやりたいことを基にして、それらと関連性の高い事業内容を探してみるのもおすすめです。
回答例
将来的なエネルギー資源の枯渇が問題視される昨今で重要なのは、エネルギー消費の削減と新たなエネルギーの採掘だと考え、本事業に興味を持ちました。
貴社では現時点で天然ガス、原油の採掘技術向上に取り組んでいることを踏まえ、私はFLNG(浮体式LNG生産貯蔵払出し設備)を一早く実現したいと考えています。
採掘した気体状の天然ガスを、運搬向けに液化ガスへと変換する技術を確立し、高効率な採掘、運搬を実現したいです。
クリーン資源として天然ガスが世界的に注目される近年において、その採掘と運搬の2点で市場をけん引できる設備、技術力の獲得を目指します。(344文字)
回答で示すべき点は3つで、「興味のある事業」「その事業で実現したいこと」「その理由」です。文字数制限の中で3点を明確に伝える必要があるため、それぞれの内容を整理して回答全体を考えるようにしましょう。
設問例3:学生時代に最も注力した勉強について
この設問では、学生時代にどんなことに注力し、そこから何を学んだのか、どんな結果につながったかなどが問われています。
物事に対する取り組み方、熱意の向け方などが注目されるポイントで、仕事に注力する資質があるかが試されます。
解答においては、分野に関わらず力を注いだことについて具体的に伝えましょう。
意識すべきポイントは以下の通りです。
- 何に注力したか
- 注力した理由、そこに対する熱意
- 工夫した点、意識した点
- 得られた学び、成果について
以上のような点を意識して解答を考えましょう。
物事に対し真摯に向き合い、熱意ある人間性をアピールできると理想的です。
過去の経験を振り返り、時間や意識を注いだ出来事を思い返してみましょう。
回答例
私が最も注力したのは、行動経済学の学習です。現代人の経済活動と感情、心理がどのように関係しているのか興味があり、当分野の学習に注力しました。
一般の標準的経済学では経済に参加するすべての人、企業、政府が完全に合理的である前提で計算するのに対し、行動経済学では人の心理的、感情的な非合理性を考慮する点がポイントです。
この学習を通じ、商品やサービスを提供する上では、品質やコストパフォーマンスの追求のみではなく、消費者心理や衝動的な感性を捉えることも重要であると学びました。
この性質はBtoCのみならずBtoBにおいても当てはまる部分があると考えるため、この学びを貴社での業務に活かし、「カーボンニュートラル事業」や「オフショア/海洋エネルギー資源開発事業」といった目に見えない要素を含む事業への活用を考えています。
回答においては、その学習から何が得られたのか、どんな意味があったのか伝えることを意識しましょう。勉強という取り組みから確実に学びを得て、その他の活動に活かしていく意識をアピールできると理想的です。
設問例4:海上職を目指す理由
この設問では、海運業界の業務内容についての理解度・目的意識が問われています。海上職は専門的な職務内容も多く、きちんと理解した上で目的を持って志望することが重要です。
志望理由は以下のように分類して考えると回答の軸を見つけやすいです。
- 仕事内容(職務内容や働き方など)
- 技術、知識(習得可能な技術、知識など)
- 社会的価値(職務の需要、存在意義など)
- 利用体験(自分が顧客として利用したサービスなど)
上記のように海上職について様々な角度から注目し、自分がやりたいことは何か、何を求めて志望したのか深く考えてみましょう。
他の職種には無い海上職ならではの要素を軸にすると説得力ある回答になるでしょう。
携わりたい業務や実現したい目標などを考えるのもおすすめです。
回答例
実家が漁業をしていることもあり、小さい頃から船や海に興味を持っていました。
中でも自分の力で潮流や海上気象を把握して航海する「航海士」に憧れ、大学では海洋生命科学について学びました。
海上業界は島国である日本にとってライフラインであり、欠かすことのできない存在です。
世界を舞台に様々な人と協働しながら世界中のライフラインを担う海運業に魅力を感じ、その中でも経済や産業の土台となる資源を自分の力で届けることができる航海士なりたいと考えています。
貴社はLNGという日本が必要としていて輸送難易度も高い資源の輸送に強みを持っています。人々の生活を支えるために、LNG船で航海士を務めることが私の目標です。
まずは三等から一等航海士までの各業務を着実にこなし、運航に必要な経験をひとつずつ重ねていきたいと考えています。(361文字)
回答においては、海上職について「魅力を感じる点」や、「海上職でやりたいこと」などを基にして考えるのがおすすめです。具体的な目標なども添えて回答できると良いでしょう。
設問例5:趣味や特技、強みについて
この設問では、回答テーマを自由に選択できるため、自己PRとして活用するのが良いでしょう。ポジティブな内容を意識し、志望企業が求める人物像を踏まえたPRができると理想的です。
志望企業に活かせるような特技、強みがある場合はそれを軸に回答し、海運業界に通じる趣味がある場合は趣味に関わるエピソードもおすすめです。
質問内容に制約が無く、自由な記述ができますが、前後の設問や志望理由を意識して、ES全体として一貫性のある回答を目指しましょう。
【回答例】
私の特技は機械の整備です。乗り物や機械製品を分解してメンテナンスするのが趣味で、機械構造物の仕組みを理解し学ぶことが好きです。プライベートで自動車やバイクの整備を行う中で、もっと大きな機械の整備をしてみたいと思い、機関士を志しました。
1つひとつの機械が動作する仕組みを理解するのが得意なので、機関士として故障防止業務、非常時の応急処置などに貢献したいと考えています。
船舶はエンジンやボイラー、発電機など様々な機械品を搭載しているため、業務遂行のために膨大な学習が必要になると考えますが、それらを学ぶ訓練過程にも魅力を感じています。
機械に対する学習意欲と理解力を活かし、貴社の船舶運航に貢献できる機関士になるのが目標です。希望は鉄鋼原料輸送船に搭乗することで、全長300メートルを超える巨大船のメンテナンスを担いたいと考えています。
回答においては、自分の趣味や特技を自己PRに繋げるような形での回答を目指しましょう。自身の能力や特徴を実際の業務に活かそうとする意思をアピールし、自己紹介で終わらないよう注意することが大切です。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
1強み:あなたの強みは?
⇩
2強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
⇩
3強みを表す具体的エピソードは?
⇩
4強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
⇩
5強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
- アピールする強みに再現性を持たせること
- 学生時代に頑張ったことと混同しないこと
- 書き出しと締めの部分を意識すること
海運業界はどんな人材を求めているのか
- 強みを持っていて、自分で理解している人
- 事業内容について理解し、明確な興味を持っている人
- 学業に注力した経験がある人
- 海上職を目指す明確な理由がある人
強みを持っていて、自分で理解している人
海運業界には専門的な職種が複数存在し、それぞれに求められる能力や資質が異なります。
そのため自分の能力、強みをしっかりと自覚し、何にどう活用していくか自分で考えられる人が求められます。
事業内容について理解し、明確な興味を持っている人
海運業界の事業では積荷の種類に応じて扱う船舶が異なるほか、ターミナル事業やエネルギー事業など多角的に事業展開している企業が多くあります。
そうした中で目的を持って継続的に働くためには、事業内容を事前に理解して自分の中で働く理由を明確にする必要があるので、事業内容について理解度の高い人が求められます。
学業に注力した経験がある人
海運業界は専門的な職種も多く、業務内容も特殊になるため、仕事をする上で継続的な学習が必須といえます。
働きながら自主的に学習をすることも必要になるので、学生時代から学業に注力して学びを得た経験のある人が求められます。
海上職を目指す明確な理由がある人
海上職では長期間乗船して業務をこなす場合も多く、時には激務となる期間も存在します。数カ月勤務、数カ月休暇といった形で、勤務期間と休暇期間のメリハリがあるのが特徴です。
そうした業務を長期的に務めるためには、職種に対する明確な目的意識が必要といえるでしょう。無思慮な希望ではなく、確固たる決意や明確な目標に基づいて目指す人が求められます。
近年の海運業界は、IT化やDX化への対応が求められ変革の時期にあるほか、脱炭素化への取り組みとして海洋エネルギー資源の採掘など新規事業への参入が重要視される変革期にあります。
志望する際は海運業界のトレンドや市場動向を細かく把握し、今の海運業界に何が必要なのか、どんな人材が求められているのか考えるようにしましょう。
また、海運業界は専門的な分野であるため、技術、知識学習が必須といえる仕事です。
専門知識や業界全体への理解を深めた上で、完成度の高いESに仕上げてみてください。