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【造船業界研究|2023年度最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!

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造船業界研究


戦後主導産業として飛躍的に成長を遂げた造船業は、本質的に景気変動の影響を受けやすく、時勢の変容によって立地調整を行ってきました。

大海原を旅する旅客船や海上貨物輸送の要であるコンテナ船など船舶製造を行い、高い技術力をもって世界戦へ挑みます。

燃料価格や旅行需要によって造船業界の景気が揺られるだけでなく、今後は環境問題対策にも取り組まなければなりません。


この記事では、変化が激しい造船業界の大まかな概要と市場規模などの解説と、主要企業の動向や就職に必要な情報など包括的にお届けします。

造船業界とは

造船業界とは


造船業とは、海上を移動、輸送する船を製造する産業です。周囲を海に囲まれた島国である日本が世界各国でビジネス展開、外交を図っていくためには造船業は不可欠です。

事実、国際貨物輸送における海上輸送の99%は船舶によって支えられています。


また、船を保有している数も世界トップレベルとなっており、1926年から2014年の間、造船市場は約60倍の成長を遂げています。

荷物の運搬だけでなく、観光、国防、研究調査など多くの分野で活躍しており、非常に可能性をもった業界です。


造船業は、造船所に組み立て加工できる大型の設備を設け、一般的に顧客から個別に注文を受け製造します。

船主との契約価格は、船の仕様やサイズによって異なりますが、世界的な景気動向、物流受給、造船会社の製造能力など多くの外的要因が作用します。

以下には、造船業界のビジネスモデルについて解説します。

参考:日本造船工業会「造船業界の就職ハンドブック」

造船業界のビジネスモデル

造船業界のビジネスモデル

造船業界のビジネスモデル

造船業界は、一般的に船舶を製造し販売することで利益を得ます。


造船会社のほとんどの顧客が海運会社となっており、製造する船のヒアリングを事前に行い、造船所で設計し、契約が成立した後、製造に移ります。

造船に必要な部材、塗料、設備などの手配を行い、設計書に沿って製造します。

船が完成した段階で、実際に海上で試運転や点検などの動作確認を行います。


依頼主の注文通りになっていることを確認し、検査書や報告書などの検査書類を作成した後、製造した船とともに納品します。

造船業界は、納品の対価として収益を得るビジネスモデルとなっており、各プロセスが計画通り遂行していくことが重要となってきます。

造船業界のビジネスモデルの特徴

造船業界のビジネスモデルの特徴は、完全オーダーメイドかつ受注から納品まで1〜5年の歳月がかかることです。


ヒアリングを行い、受注を受けてから製造設備や資材を手配するため、着手するのに時間を要します。

また、依頼主への見積もりを提示した時点から、製造期間中の間に原価が高騰する可能性もあり、しっかりと資材価格の動向を見極めなければなりません。

そのため、造船業界は世界経済の動向を把握した上で予測し、損失を出さない努力をする必要があります。


さらに造船の際は広いスペースの確保が必要となるため、造船会社は大きい造船所をいくつか保有しています。

しかし同時に製造できる数は限られるので、損失リスクを抑え、いかに利益率の高い造船を受注できるかが重要となります。


造船業界では船の製造に特化した会社もあります。全て自社での製造に注力することで信頼性を確保し、業績を伸ばす会社も少なくありません。

一方で、自動車や航空機などの製造も行いながら船舶も取り扱う総合メーカーもあります。


総合メーカーは、様々な分野で設計開発や製造を行うことで、リスク分散ができ安定した収益をあげることができます。

造船業界の依頼主は、主に世界各国の海運会社なので、契約代金のほとんどが米ドルかユーロになります。

そのため、為替変動の影響を受けやすい傾向にあり、日本の造船会社は資材を海外から調達し、決済通貨を円建てする条件で交渉するなどの工夫を行います。

造船業界の職種

造船業界の職種


造船メーカーを志望する就活生にとって、どのような業種があり、採用応募条件があるのか把握しておかなければなりません。

どの企業においても詳細な仕事内容は、実際に就職してからでしか分かりませんが、最低、就活中は大まかな分類や方向性を事前に調べ、志望動機に繋げていく必要があります。

志望する業種であっても、応募条件を満たさなければその業種で採用されることはないので注意が必要です。


造船業界は、規模の大きい企業をクライアントに持つ機会が多いため、やりがいを感じることができます。

また、技術職であれば、しっかりとした技術を習得することができ、安定して働きやすいのもポイントです。

設計・開発職

造船メーカーの要となる設計職は、「基本設計」「詳細設計」があります。

基本設計は、船全体の根幹となる基本構造を設計します。一方の詳細設計は、船全体を構成する部品や加工方法などを設計します。


設計職は、営業担当と連携しながら作図します。一般的に作図の際には、CADを用いて
2D図面や3Dの立体図面を作成します。


開発職は、これまでの研究成果や蓄積したデータから、新たな船の開発を行います。

近年では、環境に配慮した高付加価値船舶の開発に注力しています。したがって、材料力学のほか、情報や環境化学などの知識が必要となってきます。

また、船は国際海事機関(IMO)の規格に準拠しなければならないので、設計・開発職は随時、国際ルールの確認を行っていく必要があります。


開発職は高い専門性を要求される職種なので、応募条件は大体理系の修士課程を修了した学生に限られます。

これは造船メーカー問わず、開発職に就きたい学生がいるのであれば、修士卒以上はほぼ必須といえるでしょう。

製造管理職

製造管理職は主に造船所に勤務することになり、調達した資材を製造工程に従って加工し、設計図通りに造船する仕事になります。


各製造工程の自動化が進む一方で、手作業を要する工程もあります。

そういった作業は、経験とともに技術と船のクオリティが増していくため、会社にとって非常に重要な部分になります。


また、製造スタッフへ指示する管理の仕事もあります。

船体ブロックの製造や、組み立て、試運転など受注から引き渡しまでの流れの中で、コストやリスクなど様々なことを考えながら行っていきます。


このように製造に関わる職種が製造管理職になります。

営業職

営業職は、クライアントに対し時代の潮流や経済状況に合った船を提案し、契約するのが仕事です。


クライアントは主に国内外の海運会社ですが、石油会社、総合商社などもあります。船の情報収集を行い、船のサイズ、動力など、クライアントにマッチした自社の船を提案します。

また、クライアントの要件を聞きながら、設計部門と連携し、船の機能や値段を決定して契約まで進めていきます。

そのため、社内だけでなく社外との関係性も重要となります。


営業職は未経験者でもできますが、船の基礎的な知識と自社製品の特徴については、最低でも頭に入れておく必要があります。

顧客のウィークポイントを訴求し、自社製品の強みとマッチングさせて購買意欲を高めるといった営業スキルはもちろん、ビジネスマーケティングスキルも必要とされます。

資材調達

資材調達は、造船に必要な資材の調達を行います。船の品質や製造コストに配慮しながら、仕入先の選定や価格交渉、数量管理などを行っていくため、会社にとって非常に重要な職種になります。


また、様々な人とコミュニケーションをとっていくため、交渉力だけでなくコミュニケーション力も必要となります。

造船業界に向いている人

造船業界に向いている人

グローバルに仕事をしたい人

造船メーカーは国内外問わずビジネスを展開しています。

したがって、業務を遂行する上では外国語での取引やコミュニケーション、また書類に目を通す機会が多いです。

世界的な動向や為替なども考慮しつつ見積もりや交渉を行っていくので、グローバルな視点で仕事を行うことが必要になります。


将来、世界を飛び回り事業を展開していく意欲がある人は造船業界に向いているでしょう。もちろん、海外に出向く機会も増え、現地の文化や考え方にも対応して行く必要があるので、柔軟性に富んだ人も向いているといえます。


反対に、国内だけに注力したい人はあまり向いていません。どちらが良いというわけではなく、興味がある方に舵を切り、就活に臨みましょう。

達成感のある仕事がしたい人

造船メーカーが受け持つ案件は、高額なものが多いです。契約が成立した、船が完成したなどの節目では大きな達成感を得ることができます。

そのぶん責任期待といった目に見えないものを背負いながら仕事を進めていきます。


そういった負担を背負ってでも大きな仕事をやり終えた達成感を味わいたいと思える人は造船業界に向いているでしょう。


また、目に見えない負担を感じるかどうかには個人差があり、負担を感じながらでも高いパフォーマンスを出せる人もいます。

そのため、経験から自分はどのようなタイプの人間なのか分析しておくことをおすすめします。

コミュニケーションが上手にとれる人

船をつくるには、その過程でいろんな人とコミュニケーションを取りながら完成までもっていきます。

かなり大型の船舶も製造するため、かなりの人数で一つの船を製造するケースもあります。


また営業の場合、契約をするにも設計部門との連携が不可欠で、クライアントとの関係性も重要となります。

したがって、様々な人とコミュニケーションを上手にとれる人は仕事をスムーズにこなすことができます。


初対面の人との会話が苦でない人、コミュニケーションに自信がある人は造船業界に向いているでしょう。

多くの業界でコミュニケーション能力が重要視されるなか、造船業界はビジネスモデル上、特に重要となってきます。

造船業界の市場規模

造船業界の市場規模

造船業界の市場規模

造船重機業界の過去6年間の業界規模の推移

造船重機業界の過去6年間の業界規模の推移(出典:業界動向サーチ、グラフ作成:CareerMine)

 

上の図は、造船重機業界の業界規模の推移を表したものです。

2020年から2021年の造船重機業界の売上高の合計は9兆3605円になっています(主要対象企業14社)。2015年から2019年にかけて、売上は横ばいに推移し、2020年に減少しています。


造船業界は2008年まで世界的に拡大傾向にあり、2006年には過去最高の受注量を記録しました。

中国などの新興国の経済成長、世界各国の資源開発が進んだことによって造船重機業界は盛り上がっていました。

しかし、2008年の世界的な不況によって、需要は減少し、さらに燃料価格の高騰も相まって業績は一気に減少しました。その後も、業績に回復の兆しは見えず2012年まで低迷が続きました。


近年、為替や受注の抑制によって低迷から脱したものの、世界的な造船供給過剰の流れは続き、厳しい状態が続きそうです。

さらに、環境問題に対する規制強化や新型コロナウイルス拡大による経済活動の停滞などの不穏分子も未だ残ります。


世界の造船シェアは、日本、中国、韓国の3カ国がトップ3になります

日中韓を合わせたシェアは9割を超えており、日本は中国、韓国についで第3位になります。

リーマンショック前に大量に製造され、現在は「船腹過剰」の状態に陥っています。


近年、中国と韓国が急速にシェアを拡大しましたが、世界的な環境変化に対応できず、両国とも苦戦を強いられています。

日本の造船メーカーは数年分の受注を確保していますが、先の展開までは予測できません。


1案件の受注額が大きいため、小さなミスによって業績に影響する困難な業界になりますが、優れた技術力で世界シェアを取り戻す可能性もあります。

造船業界の歴史

造船業界の歴史


蒸気を動力とする汽船は、明治時代に急速に発展し、日本の近代化に大きく貢献しました。

この時期の汽船の材料は、木材から鉄、鋼へと変わり、動力が帆から蒸気へと移行するターニングポイントとなりました。

これに伴い、修繕を行うための船渠や製鉄所が多く建設され、日本の技術者の能力が向上しました。

また、修理だけでなく船本体の製造まで手がけるようになり、各所で造船所がつくられ、製鉄業発展の一翼を担いました。


一方、風の影響を受けず安定して運行できる汽船は、その航路を拡大していきました。

1875年、国内初の外航定期航路である、横浜〜上海航路が郵船汽船三菱会社によって開設されたのを皮切りに、国内航路もこれに続く形となりました。


1896年には、日本郵船が政府の後ろ盾を受け、欧州、北米、豪州への三大遠洋航路を開設します。

当初、これらの航路を運行する汽船は外国製でしたが、造船奨励法が施行されたことによって、汽船の国産化が進み、三大遠洋航路も国産汽船が主流となりました。


また、客船では1903年に竣工した「日光丸」が、明治屈指の豪華客船として誕生しました。

日光丸には、船客が宿泊する客室、食堂、喫煙室といった一般的な設備のほか、医務室や理髪店等の、充実した設備が整っていました。

さらに、一等公室の室内装飾には日本工芸品を多く展示したり、冷暖房を装備したりと豪華な設えとなっていました。


その後日本は、1956年に建造量世界一位となり、晴れて造船大国となりました。

1956年以降、2度にわたるオイルショックによって、不況の波が押し寄せてきましたが、日本の造船業は世界一を維持し続けました。


世界一位を誇っていた日本ですが、2000年に建造量で韓国に抜かれ2位へ転落、2010年には中国が大躍進し、3位に転落する変遷を辿ってきました。

それでも、造船国として高い技術を実装した船の開発を取り組んでおり、今でも中国、韓国とともに世界の造船業を牽引しています。

造船業界におけるトレンド・話題

造船業界におけるトレンドニュース

造船業界は受注が絶好調、「復調」はホンモノか

長きに渡り低迷が叫ばれていた造船業界に、回復の兆しが舞い込んできました。

業界最大手の今治造船の手持ち工事量は2021年7月時点で、水準となる2年分を超過し、2.5年分近くまで持ち越しました。

業界第2位のジャパン・マリンユナイテッド(JMU)も同じく受注量が増え、久方ぶりの吉報が入りました。


コロナ禍による巣ごもり需要の増加が起因し、コンテナ運賃の上昇に伴って日本郵船などの海運会社の業績も好調となっています。

直近10年ほど、中国、韓国とも国家主導で造船業界の再編が進んでおり、国内の造船会社は新造船の受注が滞っていました

手持ち工事量を約2年持っていないと、工場を稼働できない空白の期間が生まれ、業績が傾くといわれています。


日本船舶組合によると、2020年6月末までの手持ち工事量は、1.05年分まで減少し業界存続の危機にさらされていました。

しかし、2021年に今治造船とJMUが資本提携を結び設立した「日本シップヤード」によって、傭船予定の世界最大級のコンテナ船6隻を共同受注することに成功しました。

今後は、これを起点に海外受注の獲得にも期待できます。


ただ、原料である鉄鉱石価格の上昇による鋼材価格の高騰に懸念が残ることや、生産能力過剰の問題が依然としてあるため、今後の動向をチェックしておく必要があります。


造船業界は様々な外的要因が影響するため、造船を専業としている企業はバランスが取りにくいと思われます。

一方で、造船だけでなく自動車や航空機など手広く事業を展開している企業は、リスク分散がはかれ業績が安定している傾向にあります。


就活の際は、志望する造船会社の事業形態や特徴を把握してから、採用試験に臨みましょう。

参考:東洋経済ONLINE

現代重工業、次世代エコ船舶エンジン研究開発組織を強化

現代重工グループが、炭素排出を減らすエンジン研究開発(R&D)組織を強化しました。

これらは、変化が激しい環境規制の中で造船業のパラダイムがどのように変化するのか分からない危機意識に起因するものでした。


エンジン技術開発部は、液化天然ガス(LNG)に次ぐ次世代型の船舶燃料を活用したエンジン技術の開発に注力します。


LNGは、それ以前の船舶油と比較し温室効果ガスの排出が少ないですが、水素へと移行するための中間燃料として知られています。

現代重工業は水素とAIの活用を研究対象とし、R&D組織の強化を行っていく予定です。


環境問題対策は、全業界で取り組む課題になります。

炭素税を課せられる未来の足音が聞こえるなか、造船業界では燃料に注力した動きが見られました。

自動車もガソリンではなく電気、水素といった燃料のシフトチェンジが行われているため、船もご多分に漏れず動き始めました。


現在は、国内ではまだエコエンジンの開発を強化した段階なので実用化に向けては、さらに時間を要すると予想されます。

造船業界を志望する人は、この流れをしっかりチェックし採用対策に活かしましょう。


また、環境問題対策は造船業界を志望している人だけでなく、就活を行う人全員が関心を持つ必要があります。

世界に存在する全企業が取り組む課題であるほか、新たなビジネスチャンスも誕生します。

そのため、志望する業界だけでなく広い視野で、環境問題対策の動きをチェックすることをおすすめします。

参考:YAHOO!JAPANニュース

造船業界における主要企業の解説

造船業界の主要企業解説

今治造船株式会社

社名

今治造船株式会社(英名:Imabari Shipbuilding Co., LTD.)

設立

1942年1月15日

資本金

300億円

本社所在地

愛媛県今治市小浦町1丁目4番52号

従業員数

約14000人(連結従業員数)

事業所・工場

本社・今治工場

丸亀事業本部

西条事業本部

蓬莱事業部 

多度津事業部

西条工場

広島工場

アムステルダム事務所

東京支社

今治造船は、愛媛県今治市に本社をかまえる国内最大手の造船メーカーです。

瀬戸内沿岸を中心に事業を展開しており、グループで10箇所の造船所を保有しています。造船竣工量は国内トップで、2019年での国内シェアは約33.5%で、世界シェアは約8.2%になります。

また、日本最大の船渠を保有しています。

三菱造船株式会社

社名

三菱造船株式会社 (英名:Mitsubishi Shipbuilding Co.,Ltd.)

設立

2018年1月1日

資本金

3,000百万円

本社所在地

神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号 三菱重工横浜ビル

従業員数

900名(2020年03月現在)

平均年収

859万円
(参照:yahoo!ファイナンス

➡︎詳しくは「年収チェッカー」をCHECK!

※どちらも三菱重工(株)で登録

事業内容

船舶エンジニアリング

フェリー、貨客船、RORO船、特殊船、巡視船等の船舶設計、製造及び修理

三菱造船は、三菱重工の完全子会社です。三菱重工の船舶、海洋事業部から造船事業などの海洋鉄構構造物事業を継いだものになります。


モノを作って売り切るといった従来型のビジネスモデルに加え、海事に関するエンジニアリングサービスビジネスにも積極的に取り組んでいます。

三菱重工グループのため総合的な技術は高く、自律化船技術、AIを活用したIT技術など、様々な課題解決に向けた事業を展開しています。

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社

社名

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社(英名:Japan Marine United Corporation)

設立

2013年1月1日

本社所在地

神奈川県横浜市西区みなとみらい四丁目4番2号横浜ブル-アベニュ-

資本金

575億円

従業員数

5,600名(2020年3月末時点)

事業内容

船舶事業

ライフサイクル事業

商船事業

海洋・エンジニアリング事業

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社は、ユニバーサル造船株式会社株式会社アイ・エイチ・アイマリンユナイテッドが合併した造船会社です。

業界トップクラスの省エネ・環境対応技術と商品開発力で世界をリードする技術革新に取り組んでいます。


また、2020年に今治造船と業務資本提携を結び、さらに合弁会社設立の契約を結んでいます。

造船業界における主要企業の採用動向

造船業界主要企業の採用動向

今治造船株式会社

求めている人材
  • ものづくりが好きな人
  • 向上心がある人

一品対応の工業製品である船は、一隻一隻手塩に育てて海へと送り出します。

自動車や家電製品などの工業製品とは違った、大きな想いで船を仕上げていくので、ものづくりが好きだという人には、特に向いている業界といえます。


なかでも今治造船は、2003年から18年連続で国内首位の製造量を誇っており、そういった熱い想いをもった人が多く在籍します。

そのため、ものづくりに掛ける想いが強いほど採用されやすい傾向にあると考えられます。


また、国内では製造量首位を誇る今治造船ですが、世界では5位となっています。

そのため現状に満足せず、さらなる高みに向かってシェアを獲得していく向上心がある人も採用されやすいと考えられます。


したがって、ものづくりが好きだという想いを体験と交え、その上で高みを目指していきたいという姿勢をESや面接などでアピールできるといいでしょう。

三菱造船株式会社

求めている人材
  • 大きな挑戦をした経験がある人
  • 常に自己変革を求める人

三菱造船は親会社である三菱重工での採用を行っています。三菱重工では、若手のうちから大きな現場や仕事を任せられる機会が多いです。

大学を出たてなので即戦力として通用するわけではありませんが、現場から学ぶという風潮があります。


そのため、過去に大きな挑戦をした経験がある人は、採用されやすいと考えられます。

また、挑戦の原動力となる自己変革を求める姿勢も重要視されます。


物理学には慣性の法則が存在し、その法則は「運動するものは運動し続けようとし、静止するものは静止し続けようとする」性質のことを指します。

これは物体だけでなく人間にも当てはまります。すなわち、自己変革を求めるものは常に自己変革を求め、挑戦し続ける意味合いを持ちます。


常に自己変革を求めようする姿勢がある人も、自然と挑戦を繰り返している場合が往々にしてあるので、変化を求めている人も採用されやすいと考えられます。

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社

求めている人材
  • 情報に敏感な人
  • 細部にこだわれる人

ジャパン・マリンユナイテッドは、環境問題対策他社性能などの情報収集を積極的に取り組んでいます。

そういった、情報収集がジャパン・マリンユナイテッドの新造船や技術に繋がってきているので、情報に敏感な人は採用されやすいでしょう。


また、船の点検や少しでも環境負荷を減らそうと細部に気を配れる人も採用されやすい傾向にあります。

造船業界の採用スケジュール

造船業界主要企業の採用スケジュール

今治造船株式会社

<22年度卒の場合>

プレエントリー

一次選考(エントリーシート提出・適性検査(SPIテスト))

二次選考(人事面接)

内定

今治造船のエントリーはリクナビから行います。リクナビにてエントリーシートを提出した後、適性検査の案内が来ます。

適性検査は最寄りの検査センターにて実施します。

採用スケジュールの詳細は、今治造船株式会社の採用情報から詳細を確認しましょう。

三菱造船株式会社の採用フロー

三菱造船の採用活動は、三菱重工で行っています。そのため、今回は三菱重工の採用フローを紹介します。

<22年度卒の場合>

【技術系】

プレエントリー(2021年3月1日〜)

正式エントリー(2021年3月〜)

マッチング面談

書類審査

内々定


【事務系】

プレエントリー(2021年3月1日〜)

正式エントリー(2021年3月〜)

書類選考

面接(複数)

内々定

正式エントリーには、適性テストやES提出といった要件を満たす必要があります。

三菱重工では技術系採用フローのマッチング面談を行っています。

採用スケジュールの詳細は、三菱重工業株式会社ホームページの採用情報からマイページに登録して詳細を確認しましょう。

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社の採用フロー

<22年度卒の場合>

会社説明会

エントリーシート提出

筆記試験

書類選考

面接・工場見学

内定

ジャパン・マリンユナイテッドはコロナの収束次第で工場見学を採用に組み込んでいます。

また、面接はWEBで行う可能性もあるので、注意しましょう。

採用スケジュールの詳細は、ジャパン・マリンユナイテッド株式会社の採用情報からマイページに登録して詳細を確認しましょう。

造船業界のインターンシップ情報

造船業界主要企業のインターン情報

今治造船株式会社

今治造船のインターンシップは、対面での実施を予定しています。

内容は、船づくり体験ワーク、設計業務体験、工場見学などを行い、2日間に渡ります。また、交通費や宿泊費などは会社負担となっています。

開催時期:2022年1月20日〜1月21日、2022年1月27日〜1月28日

開催地域:愛媛

実施日数:1日

応募締切:2021年12月12日

三菱造船株式会社

三菱重工グループのインターンは三菱重工からエントリーします。そのため今回は三菱重工の理系対象で船舶、海洋研究開発のインターンを紹介します。

現在、温室効果ガス削減に向けた電動船舶等の開発が進められるとともに、AIを活用した設計の最適化が進められています。

それらについて国内外の技術動向を調査し、ビジネス展開と今後の研究課題についてまとめる内容になっています。

開催時期:1月17日〜1月21日

開催地域:長崎

実施日数:4日

応募締切:2021年11月16日

参加の流れ:エントリーシート提出→適性検査→書類選考→参加決定

ジャパン・マリンユナイテッド株式会社

ジャパン・マリンユナイテッドのインターンは、理系と事務系に分かれますが、双方で座談会が設けられています。

理系対象のインターンは、工場見学や機関プラントと電源電力装置の設計業務体験を行います。

現場でのインターンとなりますので、HPを確認しましょう。

また事務系は、事務業務の体験ワークを行います。こちらはオンラインでの開催になります。

<22年度卒の場合>

【理系】

開催時期:12月下旬〜2月末

開催地域:保有数するいずれかの工場

実施日数:1日

応募締切:2021年12月6日


【事務系】

開催時期:1月〜2月末

開催地域:オンライン

業界研究のやり方

業界研究のやり方

 

業界研究においては大きく3つのステップで行っていくことで理解することができます。

業界研究の3STEP

 

(1)業界全体像を知る

国内では、多種多様なビジネスモデルが展開されているため、市場全体を把握するのは難しいです。

特にBtoB企業の認知度は低いですが、優良企業が数多く存在します。したがって、業界全体の構造を大まかに把握してから整理しましょう。

 

(2)業界の深堀り

次に業界の深堀りを行います。(1)で業界の構造を把握し、分野分けやビジネスモデル等の特徴などを深く考えていく作業になります。

分類された分野は主に何を取扱い、どのような収益構造となっているのかを調べます。

この作業は、業界の安定性・将来性を考える上で非常に重要なことです。

業界研究が上手くいくか否かは、この業界の深堀りを如何に丁寧に行うかにかかっています。

 

(3)業界の動向把握

最後に業界の安定性・将来性について考えることです。

その業界は何に左右されやすいのか、また何に依存したものなのかを把握し、その根源となる動向を予想してみましょう。

根源となる要因は、経済、感染症、環境問題、食糧問題、テクノロジーなど一次情報に触れるのが困難なものもありますが、二次、三次情報などはネットやニュースを通じて入手できます。

造船業界の業界研究

造船業界の業界研究


造船業界についても上記で紹介した3つのステップで分析をしていきましょう。

(1)業界全体像を知る

造船業界を研究する際には、基本的に2つの分野「専業造船メーカー」「総合造船メーカー」に分けることができます。

まずは、この2分野について理解していきましょう。

専業造船メーカー

今治造船、ジャパン・マリンユナイテッド、三菱造船、内海造船

総合造船メーカー

川崎重工業、IHI

(2)業界の深堀り

造船業界の2つの分野を理解したら、次にその分野の特徴を把握します。


専業造船メーカーは、造船を専業とするメーカーになります。

海運会社などから受注し納品した対価で利益を得ます。

専業造船メーカーの特徴は、専業にしているため確かな技術力とクライアントの信頼関係が構築されている一方、クライアントに依存していることが挙げられます。


造船業界は、様々な影響を受けやすいと冒頭でも述べましたが、専業造船メーカーは総合造船メーカーと比較し特に影響を受けやすいです。

クライアントの経済状況だけでなく、資材価格や燃料価格の高騰など、営業努力では変えることができない外的要因が作用します。

そのため、常に世界的な動向を把握しておく必要があります。


総合造船メーカーは、造船だけでなくロケットや重機などの製造も行っています。

特徴は、造船以外の事業も行っているため、それらの技術を造船に活かせることができます。また、利益を分散させることによって安定的な業績を上げることができます。

(3)業界の動向把握

造船業界は一時、窮地に立たされましたが、トレンドの項目でも解説したとおり、現在は復調がみられます。

長いスパンでみて、様々な要因によって業績が傾くという点では安定性は低いと考えられます。


造船業界では現在技術職の人材不足が問題となっているため、造船メーカーが今後どのように人材確保を行っていくのかチェックしなければなりません。

高い技術力を持つ日本造船メーカーの要は技術者であり、その確保が急がれます。


また、活況を呈している環境問題への対応策で、新技術の開発や次世代型燃料の適応技術開発がこれから進んで行くという点では、今後の伸び代に期待できる面があります。

造船業界のES対策・攻略法

造船業界のES対策

ESのまとめ方

ESを記入する際には、「なぜその会社を志望しているのか」と「自分の人物像」が明確になっていることが大前提です。

明確な状態でなければ、しっかりと自己分析をしてまとめるようにしましょう。

まとめたら、「なぜ○○業界なのか」「なぜその業種なのか」「なぜその企業なのか」をしっかりまとめ、ESに盛り込んで行きましょう。

まずは、この3点を意識してロジカルに説明することが大切です。

造船業界におけるESポイント

ESでは相手に伝わるかつ一貫性のある文章で伝えなければならないので、まずは結論から書くことをお薦めします。

数あるESの中から読み手が、読み進めようと思える文章にする必要があるので、前半の部分はしっかり考えましょう。


構成例としては

①結論→②動機→③目標と困難→④取組みと結果→⑤人柄→⑥学び

という順序で書くとまとめやすくなります。


造船業界は、向上心がある人材責任感がある人材を求めています。

これらを踏まえESに記入する際は「目標に向かって努力した経験」「任された仕事を最後までやり抜いた経験」についてしっかり考えて書くことが重要です。

ESを見ながら面接する企業もあるので、受け答えができるようにしておきましょう。


目標に向かって努力した経験

造船メーカーは、現在、中国、韓国に次いで第3位の受注量を誇りますが、将来的には首位をとることを目標としています。

各造船メーカーは省エネ化や効率化、電動化を先進的に行っていき、他国との差別化をはかろうとしています。

世界首位を目標にしている以上、経営者だけでなく従業員にも意欲的な行動をしてほしいと思っています。


したがって、学生時代に目標に向かって努力した経験がある人は、会社組織に属しても、大きな目標に向かって努力できる人と判断され、採用に影響がでます。

ESには、どんな目標であれ、それに向かって何かしらの努力をした経験を書くと良いでしょう。

部活や勉強が最も思い浮かべやすいですが、生活習慣の改善やコミュニケーションを積極的に行うなども、努力としてみなせます。


ここでポイントなのが、目標に向かって努力した結果も重要ですが、プロセスが最もポイントになります。

そのプロセスから、どのような姿勢で仕事に取り組んでくれそうか、という人となりが見えてきます。


任された仕事を最後までやり抜いた経験

造船メーカーの受注単価は非常に高く、途中で投げ出す事ができません。1つの受注額で業績が左右される場合があるので、納品まで至ることが会社にとって最も重要なことになります。


そのため、途中で仕事を投げ出すことなく、最後まで責任をもって仕事をやり抜いた経験の有無は重要視されます。

ESでは、任された仕事をやり抜いた経験がある人は、書くことで、他の就活生との差別化がはかれるでしょう。


例えば、アルバイトや学園祭実行委員などの経験がある人はまとめやすいですし、大学の先生から頼まれた仕事でも良いと考えられます。

社会に出なければ、責任ある仕事を任される機会は少ないですが、学生のうちから経験しておくことで、造船業界の採用に有利に働くと思われます。

造船業界の筆記試験対策・攻略法

造船業界の筆記試験対策


造船業界は筆記試験を実施する企業よりも実施しない企業の方が多い傾向にあります。筆記試験を行う企業では、大手のSPI対策本で突破できるようなので、就活が本格化する前から勉強をしておきましょう。


また、有名筆記試験でなく独自の試験の対策をする場合でも、SPI玉手箱の一般的に多用されるWEBテストの勉強をしておくといいでしょう。

とりわけ特別な筆記試験を行う企業は、日本国内には多く存在せず、基礎的な理解力読解力を試される場合が多いです。


買い手市場の時は、企業の採用方針が保守的となり、早期に且つ確実に仕事がこなせる人材を求めます。

そのため、ここ数年以上に能力検査・適性検査は重視される傾向にあると考えられます。早いうちから試験対策にも取り組みましょう。

造船業界の面接対策・攻略法

造船業界の面接対策


造船業界の面接でよく聞かれる質問と回答のポイントを紹介します。

  • 責任者として4人のうち1人が違う意見を述べたらどうしますか。
  • 他社の造船所を見学した経験はありますか。
  • 学生時代にがんばったことは。
  • 研究内容を分かりやすく説明。
  • 社長になったら何をしたいか。

責任者として4人のうち1人が違う意見をのべたらどうしますか。

大人数で進めることとなる造船では、異なる意見を持つ人も出てきます。

失敗が許されない個別受注型の造船メーカーでは、そういった異なる意見も踏まえながら一隻を製造しなければなりません。

そのため、こういった質問では異端者をプロジェクトから外すのか、あるいは方向を修正しながらプロジェクトを進めるのかの判断が問われています。


このような質問にはベストアンサーが存在しません。


その人の思考や統率力が試される質問なので、質問の回答に対し、なぜそう判断するのかをロジカルに話せるようにしましょう。

学生時代にがんばったことは

この質問と「自己PRをしてください」に関してはESで記述した内容の深めていくことが多いです。

こういった質問の本質的なところは、「どういったことに興味をもったのか」「何が自分の武器であるのか」「周りを巻き込めるか」「高い目標に対して工夫をしながら努力できるか」といった、人物像がみられます


自分の人物像についてしっかり把握し、強みについてしっかりアピールできるようにしておきましょう。

社長になったら何をしたいか

このような質問は、常に会社の利益を考えながら行動できるのかが問われています。

しかし、ほとんどの人が会社経営をしたことない人であるため、マーケティングやマネジメントの観点から応えることはほぼ不可能でしょう。


したがって、会社に対する熱い思いをどうやって利益につなげていくのかを考えると良いでしょう。重要なのは、無理に正解を考えるのではなく、自分の選んだ道を正解にしていく、熱い思いです。

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監修者gen

1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。