【半導体業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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現代社会では様々な電子機器によって利便性の高い暮らしが実現されています。
スマホやパソコン、自動車や家電などあらゆる電子機器があり、それらに必要不可欠な部品が「半導体」です。半導体は電気の通りを制御できる物質で、多くの電子機器に組み込まれています。
その半導体の研究開発、製造・販売を行っているのが半導体業界です。
半導体業界を目指している学生の中には、ESで何をアピールしたらいいのか、質問へどのように答えればいいのか分からないという人もいるのではないでしょうか?
そんな人のために、実際に半導体業界のESで出題された質問と、突破した人がどのように回答したのかをポイントと合わせてご紹介していきます。
半導体業界は専門的な知識が求められる業界で、目的意識や熱意を持っておくことが大切です。
その上で志望動機や入社後のビジョンを明確にし、説得力のあるESを仕上げる必要があります。
本記事では詳しい回答例なども紹介しているので、ご自身のES対策の参考にしてください。
目次
半導体業界のES設問例
1技術者として目指したいこと(2022年 キオクシアHD)
2ルネサスに興味を持った理由(2022年 ルネサスエレクトロニクス)
3実現したい夢(2021年 東芝)
4社会に出るために克服しなければならないこと(2021年 ローム)
5富士電機における役割と与える影響について(2022年 富士電機)
設問例1:技術者として目指したいこと
この設問では、技術者としての明確な目標や目的を持っているかが問われています。
入社後の仕事や職種の特徴などをイメージし、具体的な目標を伝えると良いでしょう。
テーマを考える際は以下のように分類して考えるのがおすすめです。
- 学びたいこと(学びたい分野、職種など)
- やりたいこと(携わりたい業務など)
- 技術面で目指したいこと(開発技術、検査技術など)
仕事における目標設定が明確な人は、モチベーションや成長意欲が維持がしやすく、行動に対する成果を得やすくなります。
仕事を通して何を得たいのか、どのようになりたいのか考えてみましょう。
回答例
私は、化合物半導体の量産による半導体市場全体の活性化を目指したいです。5G通信や次世代EV車など先進技術に必要不可欠な化合物半導体の量産技術を確立し、市場全体を拡大したいと考えています。
現時点で量産の妨げとなっている生産コストや品質面の課題をクリアし、再現性の高い生産方法を確立したいと考えます。品質の安定化を図ることで目視検査にかかる負担が軽減でき、検査工程のコスト削減、効率化に繋がります。これにより生産数増加、低コストでの市場供給を可能にするのが目標です。
また、目視検査の代わりとなるマクロ検査や光学検査装置についても知見を深め、検査工程の自動化実現に向けても取り組みたいと考えます。量産において検査コストの課題は重要課題のひとつであり、この点の解決は必須と考えています。
量産技術の確立、検査工程の整備という2点を軸に、化合物半導体の量産実現を目指します。
具体的な業務や取り組みについて明確にすることが大切です。
目指したいこと(目標)を実現する上で、必要となる取り組みや注目しているポイントなどを明確にすると、内容が濃くなり説得力のある印象を与えられます。
設問例2:ルネサスに興味を持った理由
この設問では、志望企業についてどれほど理解しているかが問われています。
何をきっかけとし、企業のどのような点に興味をもったのか具体的に回答するようにしましょう。
志望企業の経営方針や注力している事業、製品や提供サービスなど、企業の様々なポイントに着目し、詳細な例を基に興味を感じた点を伝えることが大切です。
携わりたい業務や希望職種に関連した内容で考えてみるのも良いでしょう。志望動機が明確になってる人は、そこを軸に興味深く感じる点を掘り下げてみましょう。
回答例
私は、貴社が研究開発を行う「スマート接続パルスオキシメータ」について知り、貴社に興味を持ちました。個々の酸素飽和度や血中酸素レベルを測定できるこの技術は、様々なタイプのヘルスケアアプリケーションへ活用できると考えます。
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、社会的にヘルスケアアプリへの関心が高まりました。こうした状況の中で、ヘルスケアに着目した技術の研究開発は非常に興味深いテーマであり、大きく感銘を受けました。
私は、スマート接続パルスオキシメータやその他の研究開発に直接携わることで、貴社の研究開発事業全体への理解を深めていきたいと考えています。(273文字)
志望企業の事業内容や主力製品などに触れた内容にすると説得力が高まります。半導体業界の競合他社と比較して特徴的なポイントを考えてみましょう。
設問例3:実現したい夢
この設問では、志望企業で働く上で目標や理想が定まっているか、事業内容や社風を理解した上で目標設定ができているかなどが問われています。
入社時点で自分の夢や目標を明確にすることで、実現のために必要な取り組みや工夫すべきポイントについて考える機会が多くなります。これに伴って主体的に行動する機会が増え、人材としての成長につながるため、夢の設定は重要といえます。
夢の内容については、志望企業の業務や希望職種に関連した内容にするのがおすすめです。回答で示すべき点は「夢の内容」「実現したい理由」「そのために取り組むこと」などです。
実現したい理由と、取り組みについては具体的に示すよう意識しましょう。
回答例
私の夢は、貴社で開発中の「逆導通型IEGT」の研究に携わり、実用化を実現することです。電子機器の電力損失を低減できる本技術を実用化し、あらゆる省電力機器への搭載を目指します。
電子機器の省電力化やカーボンニュートラルの実現が世界的に注目される昨今、逆導通型IEGTの実用化が市場をけん引するきっかけになると考えます。
貴社が注力している本技術の研究に貢献し、技術者として成長すること、その後も新技術の研究に関わり続けることが私の理想です。
そのために、従来のシングルゲート構造のIEGTについても理解を深め、転用できる点や課題点などを明確化していきたいと考えています。(281文字)
志望企業の事業内容や研究について詳しく調べ、それらと関連した内容の夢をテーマにすると好印象を得やすいです。
設問例4:社会に出るために克服しなければならないこと
この設問では、自分の課題や改善点についてきちんと理解しているか、自分自身を客観的に見ることができるかなどが問われています。
回答においては「事例を踏まえて」という条件があるため、具体的なエピソードを基に答える必要があります。過去の経験や実際に起きた出来事を例に挙げ、克服しなければならない理由について詳細に伝えましょう。
伝えるべき点は以下の通りです。
- 克服すべき問題
- その理由(事例を基に)
- 克服のために取り組むこと
以上の点を軸にして回答を考えていきましょう。
回答例
私が克服しなければならない問題は、「決断力の不足」です。決断力が足りないためにチャンスを逃した経験があります。
学生時代に運営していたウェブサイトで、取り扱うテーマを絞り込む際、複数の候補から決めかねている間に競合が増えてしまいチャンスを逃しました。候補を見積もった当初は競合が少なく参入タイミングとして適切でしたが、利益率など多くの要素を含めて思考している間に市場が過熱し、参入チャンスを失ってしまいました。
決断できなかった原因は、判断基準を明確にしていなかったことです。適切なタイミングで決断を下すには、遵守すべき基準とそれ以外について、事前に絞り込むことが必要だと学びました。
今後は自分の中の決断基準を明確化し、選択において本当に必要なポイントを正確に見極めることで、決断力を向上させたいと考えています。
克服すべき問題について、どのような影響があるのか、克服することで得られるメリットなどが伝わる内容を意識しましょう。
設問例5:富士電機における役割と与える影響について
この設問では、企業の中で自分がどのような存在になり得るのか、どのように貢献できるのかが問われています。
過去の経験に基づいたエピソードを軸にし、根拠を明確にして回答する必要があります。
回答を考える際は、集団やチームにおける自分の役割(ポジション)について考えてみましょう。
これまでの活動や取り組みの中でどんな役割を担ってきたか、周囲にどんな影響を与えたかを振り返ってみてください。
回答例
私は、貴社においてリーダー役を担い、チーム全体をけん引して利益に貢献したいと考えています。
私は高校で野球部の部長を務めた経験があり、そこでチーム成長のために必要な課題や改善点を見つけ、周囲を巻き込んで実行に移す力を身に着けました。公式試合で初戦敗退の状況から、練習メニューの改善やチームワーク強化に取り組み、翌年には県大会優勝を実現しました。
この経験から、課題解決や成長において重要な点を見極め、チーム内で共有し、チームメイトに求める点をしっかりと伝えることで、全体の目的意識が統一されチームの結束力が高まることを学びました。
また、自らが主体となって行動する際、きちんとチームメイトに協力を求め、日常的に感謝を伝えていたため、周囲を巻き込きこむことができたと考えています。
これらの学びを貴社での業務に活かし、周囲を巻き込みながら利益追求に取り組むリーダーになりたいと考えています。(390文字)
回答の際は、根拠となる過去の経験から何を学んだのか考えてみましょう。
学んだことを活かしてどんな役割がこなせるか、どんな影響を与えられるかを具体的に伝えることがポイントです。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
1強み:あなたの強みは?
⇩
2強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
⇩
3強みを表す具体的エピソードは?
⇩
4強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
⇩
5強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
半導体業界はどんな人材を求めているのか
- 技術者としての目標や夢が明確な人
- 入社後にやりたいことをイメージできている人
- 自身の問題点や課題を理解し、改善の意識がある人
- 自身の役割や能力を客観的に理解している人
技術者としての目標や夢が明確な人
半導体業界では、電子機器の進化に合わせて製品力・開発力の向上を行っていく必要があります。それを担う技術者に求められるのは、目標や夢に基づいて挑戦し続ける力です。
技術者としてどんな成果を得たいのか、何を実現したいのかを明確に定め、着実に研究開発を続けていける人材が必要とされます。
選考では自分の夢や目標に対する熱意をアピールするよう意識しましょう。
入社後にやりたいことをイメージできている人
入社後にやりたいこと、目指しているものが明確な人は、困難な課題に直面した場合でも前向きに取り組むことができます。
方向性が明確であれば、努力すべきポイントや改善点などの見極めが正確になり、効率的な研究開発が実現できるでしょう。
半導体業界では技術研究や仮説検証、課題改善などが重要な業務となるため、自分自身で方向性を決めて仕事に向き合える人が求められます。
近年の半導体業界は、社会的なIT化に伴う需要増によって供給力の増強が求められる状況にあります。
化合物半導体など新分野の研究開発も注目を集めており、新技術の確立など研究分野でも有望な人材が必要とされています。
志望する際は半導体業界の仕事に対する思いや熱意をしっかりとアピールし、開発に対する挑戦の意思を伝えましょう。
また、半導体業界は専門的な分野であるため、企業研究やES対策に加えて、業界トレンドや市場動向なども把握しておくと良いでしょう。
業界への理解を深めた上で、完成度の高いESに仕上げてみてください。