【信用金庫業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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金融業界の中でも、特に地域社会の発展に貢献できる信用金庫業界。
「生まれ育った地元の成長に貢献したい」「全国転勤はせず、特定の地域で仕事をしたい」という思いで、志望される就活生も多いと思います。
そんな信用金庫業界ですが、業界の現状や求める人物像、ESで見られている点は理解していますか?
ESを書く前に業界研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているのか理解することが大切です。
今回は信用金庫業界のESで実際に出た設問例をもとに、ポイントなどを紹介していきます。
信用金庫業界の採用動向や面接対策について、詳しくは下記で紹介しています。併せてチェックしておきましょう!
- 【信用金庫業界研究|2022年度最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!
信用金庫業界を志望している学生必見!信用金庫業界の市場規模や課題、インターン情報、大手企業の採用傾向が一目でわかります。業界研究のポイントもわかりやすく解説。これさえ押さえておけばエントリーシートも面接対策もバッチリ!
目次
信用金庫業界の現状
まずは業界の現状について見ていきます。
信用金庫業界を取り巻く環境は大きく以下の2点です。
人口減少・少子高齢化に伴う経営縮小
ニュースや新聞でも頻繁に聞く通り、日本は現在急激な速さで人口減少と高齢化が進んでいます。
東京の人口増減率は0.71%であるのに対し、秋田県は-1.48%です。
人口減少が進むと、地域の消費者が減ることになるので、必然的に売上も下がります。
売上が減ると、その商品やサービスを提供している企業も経営が苦しくなり、万が一その企業が倒産した場合は資金を貸し出している金融機関も苦しくなります。
こうした負のサイクルにより、信用金庫業界の経営は縮小傾向にあります。
新型コロナウイルスにより、貸出残高が増加
信用金庫業界の貸出残高は、新型コロナにより一時的に増加しました。
なぜなら、新型コロナウイルスにより地方企業の経営状態が悪化し、多くの企業が信用金庫に貸出を求めたためです。
貸出先が増え、それらがきちんと返済されれば、信用金庫の売上も増大します。
ただ①でも述べた通り、貸出先の企業が倒産する「貸し倒れリスク」は含んでいます。
この新型コロナで増えた貸出先の企業が、いかにして経営状態を改善するかが信用金庫の命運の分かれ道でしょう。
上記のような「地方の過疎化が進む一方、新型コロナにより貸出残高は増加している」という信用金庫業界の現状を把握することで、業界が求める人物像も見えてきます。
今一度そうした視点を持って業界、企業研究に取り組みましょう。
信用金庫業界のES設問例
1ガクチカ(共通)
2就職活動をする上での、あなたの企業選びの基準を教えてください。(2021年 広島信用金庫)
3入職してやりたい仕事を教えてください。(2021年 京都中央信用金庫 )
4信用金庫に興味を持ったきっかけを教えてください。(2020年 東京信用金庫)
5あなたが感じる「きんさん」が大切にしていることは何ですか?(2021年 近畿産業信用金庫)
設問例1:ガクチカ
こちらの質問では、あなたが学生時代に熱中したこと、本気で打ち込んだことについて問われています。
「新型コロナ禍の影響で、学校での活動に貢献できなかった」と思われる方もいるでしょう。
しかし、ガクチカというのは、あなたの実績や栄光を見ているのではありません。
あなたがどういった思いやきっかけで物事に取り組んだのか、どんな壁に直面しどのように克服したのか、といった一面が見られています。
したがって、どんな些細な取り組みでも構いません。今一度、成果よりプロセスに焦点を当てて、過去を振り返ってみましょう。
回答例
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、「野球部のキャプテンとしてチームを一勝に導いた経験」です。私は大学4年間を野球部のキャプテンとして取り組みました。私の大学は部活動に力を入れておらず、中でも野球部は過去5年間の公式戦で一勝も出来ていない程の弱小部でした。
そんな中私はキャプテンに任命され、「なんとしてもこのメンバーで一勝する」と決意しました。そこで私は「何より、優秀な指導者と士気を高めるマネージャーが必要」と考え、出来る限りのOBに電話で相談し、マネージャー勧誘のために毎朝ビラ配りをしました。はじめは私一人で取り組んでいましたが、少しずつメンバーの理解を得られるようになり、最終的にはメンバー全員で指導者とマネージャーを勧誘することができました。
そして一勝するという目標をチームで共有し、練習方法などの改善も行い毎日朝から夜まで練習に励みました。結果、最後の公式戦では2勝することができました。リーダーとして引っ張っていくことの大変さと自らが行動することの大切さ、そして仲間と協力することの重要性を学びました。以上の経験を貴行でも活かします。
小さな結果でも、そこに至るためのプロセスが重要です。
設問例2:企業選びの基準
こちらの質問では、あなたの就職活動における軸が問われています。
この「就職活動における軸」も、ESだけでなく実際の面接でも頻繁に聞かれる質問です。
企業がこうした質問をする意図としては、「なぜ弊社を希望するのか、学生が会社に求めるものを提供できるのか」を確認するためです。
企業が最も避けたいことは、新卒採用した学生がすぐに辞めてしまうことです。新卒採用をするのにも、年間膨大なお金がかかっています。
そうした離職率を下げることも、大きな目的です。
回答例
私の企業選びにおける基準は、「創業・新事業の手助けをできる企業」「地元広島の発展に直接貢献できる企業」の2点です。
私はゼミ活動で、地元企業とコラボした商品の販売に励みました。その際最も困ったのが、資金集めです。たとえ素晴らしいアイデアを思いついても、資金がなければ何も挑戦できない、というジレンマを抱えて取り組みました。そこで、「アイデアはあるのに資金がないという人を手助けする仕事に携わりたい」と考えるようになりました。また私は、地元広島の発展に貢献したいと考えています。
以上の思いを実現できるのは貴行であると考えます。貴行は、「ひろしん創業支援センター」にてスタートアップにおけるコンサルティング機能を果たしており、実際に41もの創業に貢献しています。また、広島の中小企業を金融面で支え、広島の発展に貢献しています。
以上のことから私は、「スタートアップの手助けができ、地元広島の発展に貢献できる企業」である貴行を志望します。
「私の軸に当てはまるのは貴社です」と説明すると、企業側も納得感が強いです。
設問例3:やりたい仕事
こちらの質問では、あなたが入社してからどういった仕事に携わりたいのかが問われています。
志望動機とは異なり、こちらではキャリアプランや希望する部署など、より具体的な回答が求められます。
ただし、企業のHPや説明会の資料だけでは具体的に回答するのは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、OB・OG訪問です。
実際に働いている先輩社員のリアルな声、やりがいをESに落とし込むことで、企業側への強いアピールになります。
ESの提出まで時間があるのであれば、OB・OG訪問をすることをおすすめします。
回答例
私が貴行でやりたい仕事は渉外係です。理由は、数字に見えないお客様のニーズや悩みを発見し、地域と京都全体の発展に貢献したいと考えるためです。
私の実家は農業を営んでいましたが、この不況の流れを受けて昨年倒産しました。そんな中貴行の説明会に参加し、「地域の活性化と地元企業を守る、両方出来るのが大きな強み」というお話しを聞きました。そこで「貴行であれば実家のような小さな農家の支えにもなることができる」と考えました。
株式会社であれば、利益の最大化が目的であり、地域の発展は二の次になります。ただし貴行であれば、お客様と地域両方の発展を目指すことができます。特に渉外係は地元企業や農家などの財政的支援が主な業務になるので、私の大学で学んだ経験や知識を最大限活かせると考えます。以上の理由から、私は貴行の中でも渉外係に携わりたいです。
企業のHPだけでなく、実際に働いている社員に話を聞くのがベストです。
設問例4:信用金庫に興味を持ったきっかけ
こちらの質問では、あなたが信用金庫業界に興味を持ったきっかけ、経緯が問われています。
こちらの質問に答えるためには、メガバンクや地方銀行ではなく、なぜ信用金庫業界を志望するのか明確な理由を考える必要があります。
志望動機ではなく「きっかけ」である点に注意しましょう。
つまり、入社してから取り組みたいことなどの未来を話すのではなく、あなたの経験といった過去を話す必要があります。
回答例
私が信用金庫に興味を持ったきっかけは、京都で取り組んだボランティア活動の経験を通じてです。私は大学で、京都に観光で来た外国人を英語でガイドするボランティア活動に取り組みました。そこでご協力いただいたのが、地元の信用金庫です。
当時そちらの信用金庫は、「インバウンドビジネスカフェ」を開催し、外国人と地元の企業や大学をマッチングする事業に取り組んでいました。そこで私が所属する団体はダメ元で、活動の相談を申し込みました。すると当時は規模が小さかったものの、申し込みが通り「より一層インバウンド客に認知してもらうためには、どうすれば良いか」といった内容を親身になって一緒に考えていただきました。
この経験から、信用金庫は自社の利益追求だけでなく、地域の大学や企業の発展にも大きく貢献していると知りました。そして「私も自社の利益追求だけでなく、地域のことを考えて取り組める仕事に就きたい」と考えました。以上が興味を持ったきっかけです。
必ずESには自身の経験を織り交ぜるようにしましょう。
設問例5:「きんさん」が大切にしていること
こちらの質問では、企業が大切にしていることを就活生ながらも理解できているかが問われています。
もちろんこの種の質問は、企業のHPや説明会のパンフレットに書かれていることをそのまま記述しても、不十分です。
なぜなら、企業が知りたいのは「熱量を持って企業研究をしているか」「志望度は高いか」であるためです。
みなさんも、本気で内定を得たい企業にはOB・OG訪問やオフィス訪問をしていると思います。
そうした絞り込みをするために、企業はこうした深い企業研究が必要になる質問を出しています。
回答例
私は「地域社会の一員として何ができるか常に考えること」を大切にしていると感じます。なぜなら貴行は業界の中でもトップクラスで、感謝デーの開催、日帰りバスツアーや温泉旅行、各種セミナーなどを地域住民の方やお客様と行っているためです。地域住民との交流会などは、直接的に業務と関わりがないので、他行でもほとんど取り組んでいません。ただ貴行は、「地域と共に発展することを目指す」といった姿勢が伺えます。
またOB訪問でお話しした○○様も、「会社が大きくなっても、地域に根ざしたお客様本位の営業姿勢は変わらない」と話されており、「地域社会との共生」を大命題として取り組んでいました。
そうした「地域社会との繋がりを大切にし続ける姿勢」によって、貴行は預金積金・貸出金業界NO.1を実現できていると考えます。
以上のことから、貴行は「地域社会の一員として何ができるか常に考えること」を大切にしていると感じています。
こちらの設問でも分かる通り、やはりES対策で最も有効なのは、OB・OG訪問です。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
信用金庫業界はどんな人材を求めているのか
信用金庫業界が求める人材の特徴は下記2点です。
- 人当たりが良く、周囲に人が寄ってくるような人材
- 失敗を恐れず新しいことに挑戦する人材
人当たりが良く、周囲に人が寄ってくるような人材
信用金庫は地元企業の社長や専務など、様々な人と仕事をします。
その際に欠かせないのが、「人当たりの良さ」です。
お金の貸し借りというシビアな商材を取り扱う業界だからこそ、「この人なら相談できる」と思われる必要があります。
反対にテキパキと自分の仕事だけをこなすような人材は、仕事面においては優秀かもしれませんが、「上手く人付き合いできるのか」と企業側に懸念されてしまいます。
失敗を恐れず新しいことに挑戦する人材
銀行業界は保守的な業界であると度々言われます。
たしかに、新しいことに挑戦するよりは、伝統・前例を重んじてきました。
しかしこの新型コロナ禍において、状況は一変しました。
外出自粛に伴う地元企業の経営悪化、手数料収入の激減などが挙げられます。
またフィンテックや仮想通貨など次世代のIT技術も急速に発展しています。
こうした環境下においては、従来のやり方だけでなく、新しい事業への挑戦が欠かせません。
そういった新しいことに挑戦してくれる人材を信用金庫業界は求めています。
もちろんその他にも見られるポイントは存在しますが、信用金庫業界が特に求める人材は上記の2点です。
実体験を安直にそのまま記述するのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのために自分はどこを強くアピールすべきなのか」をしっかりと考えて、今一度自身のESを精査しましょう。