【印刷業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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「世の中に魅力的なコンテンツを届けたい」「印刷技術で様々なものを表現したい」といった理由で志望する就活生が多い印刷業界。
印刷業界は大日本印刷と凸版印刷の2社による寡占状態が続き、多くの就活生が志望するため採用されるのは狭き門となっています。
そんな印刷業界ですが、印刷業界の現状や求める人物像、ESで見られている点は理解していますか?
ESを書く前に業界研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているのか理解することが大切です。
今回は印刷業界のESで実際に出た設問例をもとに、ポイントなどを紹介していきます。
印刷業界の採用動向や面接対策など詳しくは下記記事で紹介しています。
目次
印刷業界の現状
まずは印刷業界の現状について見ていきます。
印刷業界を取り巻く環境は大きく以下の2点です。
①印刷事業の縮小
印刷業界のメイン事業である、商業・出版印刷事業は現在縮小されつつあります。
理由としては、出版業界の不振、ペーパーレス化、チラシ需要の減少などが挙げられます。
出版事業の不振については多くの方がイメージしている通り、Amazonの提供するKindleと呼ばれる定額読み放題サービスなどの台頭によって、紙媒体が売れなくなっています。
紙媒体の需要が減少すると、それらを制作している印刷業界が多大な痛手を負うことは想像に難くないでしょう。
またペーパーレス化については、近年のSDGsの流れを受けています。
大量に紙で印刷する時代から、デジタルを活用して少しでも紙の利用を減らそうと各企業が取り組んでいるため、当然印刷業界にも影響がでています。
②デジタル化への移行
印刷業界はメイン事業が縮小されつつある中、デジタル化を強く推進しています。
例えば凸版印刷は「デジタルアーカイブ」という、美術館や学校が持つ膨大な資料をデジタルで保存する取り組みを始めています。
これにより素早く資料の検索が出来る、資料を保管する倉庫が必要なくなるといったメリットがあり、様々な場所で導入されています。
印刷業界の中でも大手2社は特に上記の様なデジタル事業を推進していますが、その他中小企業はまだまだ印刷事業に注力しています。
ご自身がどの企業を志望するのかによって、ESに記述する文言も変わってくるでしょう。
上記のような「印刷事業の不振によって、デジタル事業へ移行している」という印刷業界の現状を把握することで、印刷業界が求める人物像も見えてきます。
今一度そうした視点を持って業界研究に取り組みましょう。
印刷業界のES設問例
1学生時代に最も努力した事は何ですか(共通)
2あなたの生き方や価値観に影響を与えた出来事・事柄を教えてください。(2020年 凸版印刷)
3自分自身を売り込むキャッチフレーズを考えてください。(2021年 大日本印刷)
4「印刷会社だからこそできる」と思うことを教えてください。(2021年 共同印刷)
5あなたが周りから信頼を得るために一番大切に考えていること、そのために日頃心がけていることを記入してください。(2021年 朝日印刷)
設問例1:最も努力したこと
この質問はガクチカに近いですが、「努力をしたこと」と限定しているため、目標に向かって励んだことを問われています。
気をつけるべきポイントは、「努力した経験のみを書くのは不十分である」という点です。
企業側としては、「あなたはどういった困難や課題に直面し、その時に何を考え、どういった努力でその壁を克服したのか」を知りたいと考えています。
そうした経験は社会に出て必ず役に立つためです。
従って「毎日○○をしました」という努力した点のみに焦点を合わせるのではなく、努力するに至った過程での経験や思いを今一度深掘りしましょう。
回答例
私が学生時代に最も努力した経験は、「大学生の一人暮らしに関するWebサイトの立ち上げ、閲覧数の増加」です。
自身が一人暮らしを始める際、大学生向けの一人暮らしの情報が少ないと感じました。そこで私は「大学生に特化した一人暮らし情報サイトを立ち上げよう」と決め、友人や大学生協の職員などから情報収集し、WordPressを利用してWebサイトを立ち上げました。
しかし半年間投稿を続けたものの、閲覧数が増えないという課題がありました。そこで「まずは大学生にサイトを認知してもらう必要がある」と考え、大学の入学式に一人暮らしの相談ブースを設けたり、大学の学園祭で宣伝することを行いました。それと同時に毎日必ず2本記事を投稿しました。
こうした努力の結果、開設1年後には月間3万PV、つまり月3万円程の収益を出すことができました。今もPV数を伸ばすためにデータ分析を行い、日々改善を繰り返しながらPV数を更新し続けています。
企業側は努力した結果よりも、その過程を重視しています。
大きな成果をあげた経験でなくとも、その背景をしっかり伝えることで評価につながるでしょう。
設問例2:あなたの価値観に影響を与えた出来事
この質問では、あなたの価値観を形成したきっかけの出来事について問われています。
設問例1でも見た通り、企業側は結果よりもプロセスを重視しています。
なぜなら、結果は運や外的要因で変動しますが、プロセスはその人の思いや考え方が強く反映されるためです。
この質問でも、あなたの価値観という完成された「結果」ではなく、その価値観に至った出来事が問われています。
企業側がこの設問で見たいことは何か、どういった目的でこの設問を設けたのか、と常日頃考える癖をつけるようにしましょう。
そうした考え方やスキルは社会に出ても必ず役に立ちます。
回答例
私は高校生のとき応援団に入部した経験から、「勇気を持って踏み出すことの大切さ」を学びました。
私は幼い頃から、人見知りで気が弱い性格でした。それゆえに、人前に出る経験もほとんどありませんでした。そんな私が高校生になった時、偶然高校の応援団が活動する場面に遭遇しました。「頑張っている人を応援する」ことに全力を注ぐ姿に強く感銘を受けました。
「自分もこの人達のように、全力で応援したい」という思いが芽生えましたが、「人前に出たことがない自分には向かない」と戸惑う気持ちで入部を決めきれずにいました。
しかし「まずは一歩だけでも踏み出してみよう」と考え、体験入部に参加しました。その判断は正しく、結果として高校3年間応援団に熱中しました。
ここで成功体験を積んだ私は、その後も「一歩踏み出す」という価値観を大切にし、海外留学やボランティア活動への参加など様々なことに挑戦するようになりました。以上が私の価値観に影響を与えた出来事です。
設問文の意図を汲み取ることが大切です。しっかりとプロセスを記述しましょう。
設問例3:あなたのキャッチフレーズについて
こちらの質問では、あなたの性格とネーミングセンスの有無が問われています。
自身の経験談から強みを抽出し、具体的なエピソードと合わせて記述する、という基本的な流れは変わりません。
ただ注意すべきは、「キャッチフレーズをつける」点です。
つまり、短いフレーズであなたの人柄、性格を伝えなければなりません。
加えて採用担当者の頭に残るような、インパクトのあるフレーズであれば尚良いでしょう。
もし「どうしてもいいフレーズが思い浮かばない」と困っているのであれば、小説、アニメ、ドラマ、CM…など身近にあるフレーズを参考にしましょう。
ただ競合他社の商品や人を不快にさせるフレーズは使用しないよう、気を付けましょう。
回答例
私は「臨機応変に対応できるカメレオン」です。このように考える理由は、物心ついた時から今に至るまで、不測の事態に上手く対応してきたからです。
中でも最も自分の性格が出たのは、大学のゼミ長を任されていた時のことです。ある時、教授から「○○ゼミの50周年記念イベントを行うので、参加者200人を集めてください」と言われました。現実的ではない数字ですが、私はすぐに「どうしたら過去のゼミ生と繋がれるか」を考え、Facebook、過去の年賀状、就職先への問い合わせなど、あらゆる方向から集客の方法を考え実施しました。その結果、わずか1週間で230人を招待することができました。
このように、臨機応変に対応できるのは、私が「悩んだり落ち込む暇があったら、すぐに対策を講じるべき」と常々考え行動しているからです。この性格は貴社の営業でも「一喜一憂せず冷静に営業数字を稼ぐ」として活かします。
ただフレーズを述べるだけでは説得力がありません。具体的なエピソードを根拠としてしっかり提示しましょう。
設問例4:「印刷会社だからこそできる」ことは?
この質問では、あなたが思う「印刷会社だからこそできること」が問われています。
企業側としては、「印刷業界をどの程度知っているか」「この業界に対する本気度はどれくらいか」を探るために、この質問を設けています。
「業界の現状」でも前述した通り、印刷業界は現在紙媒体離れによって厳しい環境下にいます。
一方で、出版物や歴史的書物をデジタルで保存するといった印刷業界にしかできないことにも取り組んでいます。
そのようにして各企業は「これから印刷業界はどういった特性を活かして生き残るのか」ということを考え、事業を進めています。
「そうした視点を持つ学生を採用したい」というのが企業側の本音であり、この設問ではそこを上手くアピールする必要があります。
こうした問題は、しっかりと業界研究ができていないと答えられないため、回答に困った学生は今一度業界研究を行いましょう。
回答例
私が思う印刷会社だからこそできることは、「教育現場における教師の負担減」です。私には中学校で教師をする兄がいます。その兄は常々「宿題やテスト問題、連絡帳などあらゆる印刷物をデジタル化できれば負担が格段に減る」と嘆いています。教育の現場ではまだまだアナログな部分も多く、IT化が遅れている業界のひとつだといえます。
そこで、印刷会社が教科書やテスト問題など、全ての印刷物をタブレットで管理するシステムを構築できれば、学校の負担減に加えて企業側にとっても大きな収益源になるのではないかと考えました。事実アメリカでは、地元の印刷会社がデジタル版の教科書を学校に販売しています。
こうした取り組みは、教科書の納品などで学校と長い繋がりがあり、印刷物をデジタル化する技術を持つ印刷会社だからこそできると考えます。以上が、私が考える「印刷会社だからこそできること」です。
ニュースや他国の取り組みなどをESに落とし込むことで、「業界研究をしっかり行っている」という印象を与えます。
設問例5:信頼を得るために心掛けていること
この設問は恐らく多くの就活生が、難しいと感じることでしょう。
なぜなら多くの人が「信頼を得るために普段から○○しよう」と考えて行動をしていないためです。
ではどのようにして記述すればいいのでしょうか。
結論、エピソードから心掛けていることを逆算して考えましょう。
例えば、周りから褒められた経験、自分がリーダーシップを発揮した経験、チームで何か成し遂げた経験などから、「その時自分はどういった思いでメンバーと接していたか」を考えましょう。
そこで出てきた思いが、あなたが信頼を得るために心掛けていることです。
回答例
私が信頼を得るために心掛けていることは、「人によって対応を変えない」「目を見て話をする」この2点です。
私は高校3年間バスケ部に所属し、3年生の時にキャプテンに任命されました。任命当初はチームの雰囲気が良かったものの、自分のリーダーシップが足りず、指示を出しても聞いてもらえなくなりました。悩んだ結果、自分がキャプテンとして信頼されていないからだと考えました。
そこで私はメンバーから認められるよう、人によって対応を変えず毅然とした態度をとるよう心掛けました。また相手の目を見て話すことを徹底し、間違っていることに対してもはっきりと自分の意見を伝えるようにしました。その結果、周りから「責任感が増して、ついていこうと思えるキャプテンになった」と認められるようになりました。
それ以降、周囲から信頼されるために誰に対しても平等に誠実に対応し、目を見て話すをことを心掛けています。
「信頼される」ことは、入社後も求められるスキルです。しっかりとアピールしましょう。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
印刷業界はどんな人材を求めているのか
印刷業界が求める人材の特徴は下記2点です。
- チャレンジ精神があり、新しいことにも主体的に挑戦できる人材
- ヒアリング能力に長けており、課題解決の道筋を示すことができる人材
チャレンジ精神があり、新しいことにも主体的に挑戦できる人材
印刷業界はチャレンジ精神があり、挑戦できる人材を求めています。
なぜなら印刷業界は、印刷事業の縮小に伴いデジタル事業を進める過渡期にいるためです。
こうした会社が変わる時期においては、「新しいことに挑戦するよりも、従来の技術の継承に努めたい」という就活生は求められていません。
それよりも、「幼い頃から新しいことに挑戦するのが好きでした。御社でも常にチャレンジ精神を持って働きます」とアピールする就活生の方が求められるでしょう。
入社後は従来の事業に加えて、様々な新事業を任されることになります。
そうした手探りな状況下で、この就活生は力を発揮出来そうかが見られています。
ヒアリング能力に長けており、課題解決の道筋を示すことができる人材
印刷業界はヒアリング能力に長けている人材を求めています。
なぜなら、印刷業界はお客様の抱えている課題を印刷技術によって解決する業界であるためです。
そのため、言われたことをこなすだけの就活生は求められていません。
一方でよく人の話を聞き、常に「この人はどういったことを思っているのか」「どうすれば抱えている悩みや課題を聞き出すことが出来るのか」と思考する就活生が求められます。
お客様の希望に沿った出版物を作成する、印刷業界ならではの特徴であると言えるでしょう。
もちろんその他にも見られるポイントは存在しますが、印刷業界が特に求める人材は上記の2点です。
実体験を安直にそのまま記述するのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのために自分はどこを強くアピールすべきなのか」をしっかりと考えて、今一度自身のESを精査しましょう。