【食品業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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食品業界は食に関する様々な製品を販売し、消費者に提供することを職としています。
おいしい食事を消費者に提供すると同時に、安心して食べられる食品を提供する。そんな食品業界は学生にとって身近な存在ではないでしょうか。
2022年卒版就職企業人気ランキングでも5位に味の素、7位サントリーグループがランクインするなど、学生から人気の業界であることが伺えます。
ただしそんな人気業界であるからこそ、当然競争も激しくなります。
ライバルたちに差をつけるという意味でも、ESの重要性が非常に大きくなってきます。
ESでは設問の出題意図を読み取り、その意図に沿った内容の文章を作成することが大切です。
そこで今回は企業側が求めているESについて実際の設問と回答例を用いて紹介していきます。
>>菓子業界の採用動向や面接対策などについては、【食品業界研究】で詳しく解説しています。併せて確認しておきましょう!
食品業界のESで実際に出た設問
1あなたのお菓子にまつわる忘れられないエピソードを教えてください。(2020年 ブルボン) ※150字以上250字以下
2食品業界を志望する理由と、その中でも当社を志望する理由をご記入ください。(2020年 森永製菓) ※200字以内
3伊藤ハムの好きな商品とその理由、他社と比較して違うと感じる点を教えてください。(2020年 伊藤ハム)
42021年「味の素(株)」が社名を変更することになるとしたら、あなたはどんな社名を付けますか? 理由と併せ、200字以内で記述してください。 (2021年 味の素)
5あなたの一押しの『大好きなグルメ』について、魅力が伝わる様に紹介してください。 (2021年 ハウス食品) ※300字以内
設問例1:エピソード
この設問を通じて企業側が見たいのは『本当にこの業界に関心があるのか』です。
食品業界は安定した業界のイメージが強く、そこに惹かれて志望する学生も多いです。そのため、この設問を通じて本当に食品業界に関心があるのかを推し量ろうとしています。
まずは食にまつわる過去のエピソードを思い出してみましょう。
その際、困難な状況が食を通じて解決できたエピソードを述べると企業側が好むESを作成しやすくなります。
回答例
私はお菓子を通じて友人関係を克服しました。大学入学当初、私は周囲に親しい人が全くおらず、一人で寂しく学校生活を送る日々が続きました。そんな日常の中で一人、好きなチョコ菓子を食べていたところに『私もそのお菓子好きなんだよね』と声をかけてくれた同級生がいました。声をかけてくれたことがきっかけで会話が弾み、一緒にそのチョコ菓子を食べ、気づけば友達となっていました。お菓子にはコミュニケーションを円滑にしてくれる力があることを身を持って体験し、非常に魅力に感じました。その同級生とは今でも親友です。(193字)
まずは自身のエピソードをひねり出しましょう。食を通じて問題が解決したエピソードや食によって助けられたエピソードなどを考えましょう。
ただ『おいしかった』と感想を述べるのではなく、食によって運命が変わった、あるいは考え方が変わったといった変化を述べると上手にまとめやすくなります。
設問例2:志望理由
志望理由はこの業界に限らず、どの業界でも必須の設問になります。
業界を志望する理由と企業を志望する理由はそれぞれ分けて考えましょう。
■業界を志望する理由
企業が業界の志望理由を問うのは就活生の本気さを確かめるためです。
他のどの業界でもなく、食品業界でなければならない明確な理由を提示しなければなりません。
ただ『食べ物が好きだから』とだけ伝えるのではなく、食品業界でなければ成し遂げられない目標を述べることを意識してください。
■企業を志望する理由
企業の志望理由についても出題意図については業界の志望理由を問うのと同じです。
就活生がその企業でなければならない理由がきちんとあるかを確かめるために問うているのです。
同業他社にはないその企業だけの魅力や達成したい目標を述べていきましょう。
その際、企業の「企業理念」を必ずチェックしてください。そこにあるその企業だけの目標や価値観に目をつけ、ESに盛り込むことを意識しましょう。
例えば、森永製菓であれば『新たな価値と感動を創造する』という企業理念が挙げられています。そこを踏まえた志望理由を述べることを意識してください。
回答例
私は食品には未来を変える力があると思い、食品業界を志望しました。私は大学入学当初、友達がいませんでした。でもお菓子をきっかけとして親しい人が増え、友達ができました。この経験から食品業界に魅力を感じ、志望しました。貴社を志望した理由は『新たな価値と感動を創造する』という理念に惹かれたからです。私は上記のような経験から食に新たな価値と感動を実感しました。そして貴社の理念に共感したので志望しました。(198字)
業界の志望理由については自身の過去のエピソードを踏まえつつ、この業界でしか成し遂げられない目標やこの業界にしかない魅力を引き出すとよいでしょう。
企業の志望理由については必ず企業のHP(特に企業理念)をチェックしてください。
その中で自身が共感した文言を取り入れ、自身の目標と企業の理念を共有した内容をまとめるのがベストです。
まとめる際には、はじめに業界の志望理由、次に企業の志望理由といった具合に順番に述べるとより読みやすいESを作成することができます。
設問例3:商品の魅力
この設問では就活生がきちんと情報収集をする習慣がついているかを確認しています。
企業のHPには商品紹介のページがあり、そこで述べられている特徴は企業が商品の強みとしている部分になります。
実際に食べてみた感想をまとめるのもよいですが、企業が商品の強みとしている部分をきちんと把握したうえで感想をまとめるとよりよいESになります。
さらには実際に食べてみて、自分の食への価値観が変わったエピソードをまとめられるとよりベストです。
回答例1
私は貴社のベルガヴルストというソーセージが好きです。私はこれまでソーセージは『子どもの食べ物』というイメージが強い人間でした。しかし、このソーセージに出会い、そのイメージが大きく変わりました。実際にベルガヴルストを食べてみると、お酒とマッチする大人にぴったりの食べ物でした。元々お酒を飲まなかったのですが、このソーセージを通じてお酒の楽しみ方を知ることができました。大人の食の楽しみ方を教えてくれたという意味でも、こちらのソーセージは唯一無二の好きな商品です。(232字)
回答例2
私は貴社の朝のフレッシュハーフベーコンが好きです。私はもともと自炊があまり得意ではありませんでした。特に市販のベーコンは手がべたつきやすく、調理するのに抵抗がありました。しかし、こちらのベーコンは使いきりで調理しやすく、手がべたつかないので大変調理しやすいのが好印象でした。このベーコンを使ったレシピがサイト上にたくさん掲載されており、様々なレシピで自炊に挑戦しようという意欲もわきました。このベーコンは私に自炊の楽しさを知るきっかけとなった素晴らしい商品です。(219字)
冒頭では必ずどの商品を紹介しているのかを述べてください。
ただ味や感想を褒めるのではなく、この食材を通じてどのように考え方や価値観が改善したのかをまとめましょう。
設問例4:社名決め
非常に凝った設問のように見えますが、こういう問題ほど出題意図を見抜くことを意識しましょう。
今回の設問であれば、『当社で成し遂げたいことは何ですか?』と同じ設問だと言うことを見抜いてほしいのです。
社名とはその会社が進む目標や描く未来を形にしたものです。
それを自身の手で決めるということは、『会社の目標を設定する』ことと同義だと見抜くことで、この設問の出題意図をつかむことができます。
その企業で成し遂げたいことを考えていくと会社全体が見え、アイデアが浮かんでくるかもしれません。
企業理念を調べ、そこから企業の進むべき目標を見抜いて社名を決めるのもよいでしょう。
自身の味の素にまつわるエピソードを考え、そこから企業の描く未来を想像するのも一手です。
回答の自由度が高いのがこのタイプの設問の特徴です。下記の回答例は味の素にまつわるエピソードから作成した内容になります。
回答例1
私は貴社を『自立屋』と名付けます。私は一人暮らしを始めてしばらくの間、自炊をしていませんでした。外食が多く、不摂生な生活を続けていました。しかし味の素を使えば料理未経験な私でも簡単に野菜スープが作れます。自炊をするきっかけになったと同時に、野菜を取る習慣が身につき、不摂生から脱却できた経験があります。貴社は一人暮らしの人たちを支え、自立を促進できることから『自立屋』と名付けました。(192字)
回答例2
私は貴社を『幸せの輪』と名付けます。私の家庭は裕福とは言えず、両親共働きのために私が家族全員分のご飯を作る日々でした。その際に味の素はとても重宝しました。味の素を使用した料理はいずれも簡単でおいしいものばかり。家族全員が味の素で作った料理を食べ、嬉しそうに『おいしい』と言ってくれる日々がとても幸せでした。味の素のおかげで家族が全員が笑顔になれたことから『幸せの輪』と名付けました。(196字)
個性的な設問に直面したら必ず出題意図を探りましょう。
出題意図を見抜いたうえでそれに沿った内容をまとめます。
社名を決める設問ですが、先にエピソードや目標から考えましょう。
そこから連想したものを名前として決めると企業が求めるESを作成しやすくなります。
回答をまとめる際には必ず先に社名を述べ、次にその社名に至った経緯を述べるという順番で書きましょう。
設問例5:好きなグルメ
一見するとグルメにまつわる問題ですが、言葉通りの意味に惑わされないようにしましょう。グルメを問うているからといって食の知識をアピールしないよう注意してください。
まずはこの設問の出題意図を探りましょう。
今回であればグルメを問うことで食にまつわる転機や食を通じて描く明るい未来を企業側は尋ねたいのです。
これらを聞くことによって食品業界への関心や企業理念との共有の度合いを確かめるためにこの設問が出題されているのです。
内容としては行きつけの外食店を通じてのエピソードをまとめましょう。ただし、ただ味の感想を述べるだけの文章にならないように注意してください。
この設問はこれまで述べた4つの設問をすべて統合した総合問題のような設問です。
回答例1
私の一押しは近所のラーメン屋さんの味噌ラーメンです。受験前日、とても寒く、緊張していたこともあって情緒的に不安定で眠ることもままならない状態でした。気分転換にとそのラーメン屋さんで味噌ラーメンを食べたのですが、その温かさが身体にも心にもしみました。空腹を満たせただけでなく、精神的な不安も軽減し、よく眠ることができました。おかげで受験当日は万全のコンディションで入試に臨むことができました。
その味噌ラーメンはただ空腹を満たす食べ物ではありません。私の緊張を溶かし、心を落ち着かせてくれる魔法の食べ物です。今でも大事なテストの前日にはそのラーメン屋さんに通うようにしています。(290字)
回答例2
私の一押しは近所の定食屋さんです。和食を中心にしたお店で、特に豚の生姜焼きが好きです。私は一人暮らしを始めて以降、自炊をせずに不摂生な食生活を送っていました。近所の定食屋さんでは栄養バランスの良い食事を提供してくれることもあり、毎日のように通っていました。その味はかつて実家で毎日食べていたものと似ており、不思議と心が揺さぶられる経験をしました。
店主も気さくに声をかけてくれて、まるで実家に迎え入れられたような温かさで満たされます。ただおいしくて栄養のあるものを提供してくれるだけでなく、一人暮らしを通じて忘れていた大切なものに気づかせてくれた近所の定食屋さんが私の一押しです。(297字)
食にまつわるエピソードを述べていくわけですが、食を通じて困難な状況が改善していった様子をまとめると自ずと企業側の関心を引きやすいESになります。
今回は外食にまつわる問いなので、食を通じて心が温まったエピソードを盛り込むとよいでしょう。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは、企業に対して「自分を売り込む場」といえます。
自分の強みや長所をどのように企業で活かせるか、どのように企業へ貢献できるかをアピールし、企業に必要な人材と思ってもらえるように自分を売り込む事が自己PRでは求められます。
自己PRで評価されるには、自分の人柄や能力を具体的に伝えて企業が求める人物像に合わせてアピールすることが重要になります。
企業が自己PRを聞く意図は3点あります。
1応募者が活躍してくれるか見極める
応募者を採用することによって企業にプラスの利益をもたらす人材なのかを強みや長所を聞いて見極めています。
そのためただ単に自分の強みや長所をアピールするのではなく、企業が求めている強みや長所を意識してアピールすることが大切になります。
2企業に合った人材か見極める
企業の社風や考えに合った人材かを見極めることによって活躍してくれるか判断材料としています。例えば応募者の強みが既存社員と類似していたら企業とマッチする可能性が高く活躍が期待できます。
反対にいくら優秀な人材でも企業との相性が合わない場合は早期退職の恐れがあるため前向きに採用を検討しません。
3自分を客観視できているか
自己分析は就職活動において最も重視して行うものなので、自己分析が出来ていないと就職活動への姿勢が悪いものと評価されてしまい、企業への志望度も低いものだと判断されてしまいます。
自己PRは自分を売り込む場なので、自分自身について正しく理解する必要があります。そのためには自分を客観的にも理解することが大切となります。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
食品業界はどんな人材を求めているのか
これまで5つの設問例から食品業界のES対策を述べていきましたが、食品業界が求めている人材は大きく分けて3つになります。
- 食への熱い思いを語れる人
- 食品業界が目指す明るい未来を描ける人
- 企業の理念に共感できる人
食への熱い思いを語れる人
食品への魅力を過去の経験を交えながら語れる人が食品業界では求められています。
大前提としてエントリーする企業の商品が好きな気持ちがなくてはいけません。
ただ目標だけを述べても説得力のある話をすることはできません。説得力のある話をするためにも、過去の食にまつわるエピソードを交えながら述べることが大切です。
食品業界が目指す明るい未来を描ける人
社員の一人として仕事をしていくうえで自分自身も大きな目標を持つことが大切です。
数年で達成できるような目標ではなく、自分の人生をかけて目指すような大きな目標を形成していきましょう。
そしてその目標を達成するために、その企業でなければならない明確な理由を述べていくことが大切です。
企業の理念に共感できる人
自分自身の考えに基づいて仕事をしていくことも大切ですが、きちんと企業側の意見を汲みとって仕事をしていくことも大切です。
ESを作成する際、必ず企業のHPを閲覧する機会が訪れます。
その際にきちんと自身も共感できる理念を持っているかを把握したうえで志望する企業を選びましょう。
これは企業に採用されるためというのみならず、今後長きにわたってその仕事に携わることができるかにかかわる重要なポイントです。