【鉄道業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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圧倒的な知名度を誇る鉄道業界。幼い頃から鉄道業界に憧れを持っている人は多いのではないでしょうか。
運転手や車掌、鉄道整備といった仕事だけでなく、不動産事業や観光事業などの沿線の魅力向上にも携わることができる仕事です。
ただ、職種や事業領域が広いため、ESでなにをアピールすれば良いか、どのように質問に答えれば良いか分からない人も多くいると思います。
そういった方々のために、過去実際に鉄道業界で出されたESの質問と参考となる回答例をまとめてご紹介します。
鉄道業界は昔から多くの人が志望する人気の業界ですので、しっかりと対策して突破できるESを作成しましょう。
是非こちらの記事をご自身のESの参考にしてください。
また、鉄道業界全体の採用動向や面接対策などについて、詳しく知りたい方は「鉄道業界研究」の記事をチェックしてみてください。
目次
鉄道業界のES設問例
1学生時代に最も力を入れた事を教えて下さい。(共通)
2学校での研究・ゼミ・授業等で学んだ内容について記入してください。(2022年 JR東海)
3訪れたくなる沿線づくりのためには何が必要ですか(2022年 大阪モノレール)
4現在の社会情勢を踏まえ、あなたは当社に入社しどのようなことに挑戦しますか? 具体的な内容と、それを実現するあなたならではの強みを教えてください。(2020年 JR東日本)
5あなたが弊社で成し遂げたいことは何ですか。 またそのように考えた経緯を教えてください。(2020年 東急)
設問例1:学生時代に最も力を入れた事
この「ガクチカ」と呼ばれる質問は、鉄道業界のみならずほぼ全ての企業で出題されています。
だからといって一度作成したガクチカの文章をそのまま他企業・他業界でもコピペする事は絶対にやめましょう。
なぜならば、どういった点が見られているかは各業界によって異なるからです。
この質問では以下のことが見られています。
・一つのことをコツコツ継続することができる人材か
・ガクチカからその人の人柄や性格を示すことができているか
・企業の社風とマッチする人材か
・周囲の人に協力を受けながら、周りを巻き込んで物事を進められる人か
なにも考えずただ学生時代に力を入れたことを記述するのではなく、どういった人材を求めているのか、自分自身の人柄が伝わる内容になっているかを考えなければなりません。
特に鉄道業界のES選考においては、奇抜な経験や発想力というよりも、継続性や真面目さを重視される傾向にあります。
採用担当者の目を引くために話を極端に盛ったり、色々な話題を詰め込みすぎないようにしましょう。
また、技術職ではなく営業職を希望する場合は周りを巻き込んで事業を推進する力も求められます。
自分自身が鉄道業界で何をしたいのか、そのためにはどの職種で入社すべきなのかを改めてしっかり考えましょう。
回答例
私が学生時代力を入れて取り組んだことは、約3年間携わった学生バンドNo. 1決定戦の運営です。この企画は学園祭当日に学生のバンドマンに生演奏を披露して頂き、審査員と観客の投票によって優勝を決めるイベントです。「普段交わる事のないバンドマン、審査員、観客が繋がるきっかけを生み出したい」「音楽で人を繋げたい」という思いで、この企画に取り組みました。
しかし、年々観客数が減少しているという課題がありました。そこで私はこの企画の認知度を高めることを目標にバンドマンの曲が入ったオリジナルCDを作成し街で配布する、朝と夕方に学校でチラシ配りをするといった施策を行いました。チラシの配布が思うように伸びなかったため、SNSのアカウントを開設し、情報発信行いし、当日にはキャンペーンも実行するよう企画を提案し、実行しました。
その結果、当日は前年度の倍以上である300人を集客することが出来ました。この活動で得た「周りの人を巻き込む力」を、多種多様な企業との密な連携が求められる貴社でも活かします。
ささいなことでも構いませんので、継続力をアピールしましょう。
「学生時代は様々なことを経験しました」という点を全面にアピールすると、「入社してもすぐに辞めてしまうのではないか」と採用担当者に思われてしまいます。
また、自分がリーダーとなって周囲を巻き込んだ経験などがあれば、好印象を持たれるはずです。
設問例2:学校での研究・ゼミ・授業等で学んだ内容について
この質問もガクチカと少し重複する部分がありますが、あなたが学生時代にどういった研究に励んだのか、どういった困難や課題に直面し、それを乗り越えたのかを問われています。
この質問では以下のことが見られています。
・学生時代、勉学に励んでいたか
・研究内容が社会でも活かすことができるか(特に技術職)
・研究を進める上で直面する課題や困難を、どの様に乗り越えたのか
・ゼミ活動を通じてどういった学び、気付きがあったのか
企業の採用担当者は、コツコツとゼミや研究に取り組み、努力できる人材が欲しいと考えています。
深く追求される可能性もあるので、取り繕ったゼミ活動を記述していても見抜かれてしまうので要注意です。
特に鉄道業界は先程も述べた様に、「継続力・真面目」を重視する傾向があります。その点を意識しながらESを書く様にしましょう。
回答例
私はゼミ活動で、「○○」プロジェクトに約2年半携わりました。「興味を持った事はとにかく挑戦する」という私の軸のもと、このプロジェクトに挑戦しました。「○○」とは○○大学と株式会社○○が共同開発した梅のサイダーです。「若者の力で大阪を元気に!」というコンセプトのもと、大阪各地で行われるイベントに参加し、梅のサイダーを販売しました。
前年度の倍の本数を売るという目標をチームで掲げたものの、売れない日が続きました。チームで議論した結果、原因は商品の認知度不足であり、イベント以外でも商品の露出を増やしていく事を目指しました。そこで私は営業担当としてテレビ局、地域紙に商品の売り込みを行いました。
創意工夫を凝らす事で関心を引き、結果として様々なメディアで取り上げて頂く事が出来ました。この活動で得た「チームの目標を達成する為に、周りを巻き込んで主体的に行動する力」を御社でも最大限発揮します。
輝かしい実績をアピールすればいい、というものではありません。
ゼミ活動を通じてどういった学びがあり、社会でどう活かしていくのか、課題に直面した時、自分自身何を考えたかといった点を改めて深掘りしましょう。
設問例3:訪れたくなる沿線づくりに必要なもの
ここからは、より鉄道業界に特化した設問例を見ていきます。
鉄道業界のESではこの様な「沿線の活性化の為には、どの様な施策が有効であると考えますか」といった設問が散見されます。
今鉄道業界は人口減少、少子高齢化、地方過疎化によって沿線の利用者が減っているという深刻な課題に直面しています。
こうした課題に対してどの様な考えを持っているか、常日頃からこういった類のニュースを見ているかが問われています。
この質問では以下のことが見られています。
・鉄道業界が直面する課題に、自分自身の考えを持っているか
・自分自身の考えを論理的に説明することができるか
・常日頃からニュースや新聞を見ているか
・斬新な発想や考え方を持っているか
恐らく大体の施策は既に企業の方で実践済み、あるいは話に出たことがあるでしょう。つまり、本気で大学生に課題を解決するアイデアを求めているわけではありません。
そうではなく、自分自身の考えをしっかり持っているか、またそれを上手く伝える事が出来る人材かが見られています。
その辺りを意識して記述しましょう。
回答例
「訪れたくなる沿線」づくりのためには、特に「沿線の魅力向上」に注力すべきだと考えます。なぜなら、普段御社を利用しない人が「訪れたい」と思うきっかけを作るには、沿線の魅力向上が欠かせないと考える為です。その為に2つの取り組みが必要です。
1つ目は、「沿線におけるイベントの誘致」です。積極的に大規模なイベントを誘致する事で、遠方に住む方にとっても「訪れたい沿線」となります。当然御社単独で誘致する事は難しいので、地域交流の一環として沿線の自治体、企業を巻き込んだ取り組みによってイベントを誘致します。それにより「いつもどこかでイベントがあり、常に活気のある沿線」として魅力を高め、地域外に住む方々にとっても「訪れたくなる沿線」となる事を目指します。
そして2つ目は「訪日客向け企画乗車券の拡充」です。御社の中期経営計画でも述べられている様に企画乗車券の拡充は欠かせません。具体的には、国内線航空券と御社の多様な企画乗車券を組み合わせた物を HPや観光案内所等で販売する事で、伊丹空港からの利便性を高め、魅力を発信します。
上記2つの取り組みによって沿線の魅力を向上し、国内だけでなく海外からも「訪れたくなる沿線」を目指します。
奇を衒った施策というよりは、自分自身が考えるその企業の課題、それを解決するための施策を理論立てて説明する様にしましょう。
そのためには企業の中期経営計画やホームページを読み込むことが欠かせません。
設問例4:入社後どのようなことに挑戦しますか?
現在の社会情勢を踏まえ、あなたは当社に入社しどのようなことに挑戦しますか? 具体的な内容と、それを実現するあなたならではの強みを教えてください。(2020年 JR東日本)
自身の強みと入社してからのキャリアプランが問われています。さらにこの設問ではこのコロナ禍における情勢についても触れられています。
ご存知の通り、現在鉄道業界は新型コロナウイルスにより多大な影響を受けています。テレワークの推進や外出自粛の流れを受け、天下のJRでも社員の一時帰休が行われています。
こうした前代未聞の情勢を踏まえて、どのように会社で成長していきたいかが問われています。
この質問では以下のことが見られています。
・この新型コロナウイルスの流れをどの様に見ているか
・この情勢に悲観することなく、前向きに捉えられているか
・自身の強みを会社でも活かすことができるか
・入社してからのキャリアプランを描けているか
会社に入社することがゴールではなく、その後どういった職種について、将来的にはどういったことを成し遂げたいかを記述する必要があります。
回答例
私は地方+鉄道+訪日外国人により交流人口を創出、拡大させ、御社の沿線から関西全体の活力を創出することに挑戦したいです。私は海外一人旅とゼミ活動を通して、この思いに至りました。
私は半年前、約一ヶ月間のヨーロッパ一人旅を経験しました。その際、特にフランスとスペインにおいて鉄道の不便さを痛感し、同時に、改めて日本の鉄道の利便性を実感した私は、鉄道を通じて日本の魅力を世界に発信したいと考える様になりました。
ゼミ活動で取り組んだ「○○」プロジェクトを通して関西の歴史、文化、人に触れる事で、地方から関西の元気を創り続けたいと考えました。そのために私の強みである「アイデア力」と「行動力」を貴社の営業職で活かします。
そしてさらに御社の強みである観光特急、そして多様なグループ会社の相乗効果で、今後益々の増加が見込まれる訪日外国人へ働きかけ、関西エリアの交流人口を拡大させていきたいです。この新型コロナウイルス禍で訪日客は全くいない状況ではありますが、万博やIRなど近い将来必ず戻ってきます。これが貴社で挑戦したいことです。
なぜその思いに至ったのか、何がきっかけかを記述する様にしましょう。そこを含めることでより説得力が増します。
また設問に対する答えを先頭に記述することで、結論に基づいた話を展開していく流れになり、とてもわかりやすく伝えることができます。
設問例5:弊社で成し遂げたいこと
こちらも志望動機と似ていますが、しっかりと質問の意味を汲み取る様にしましょう。
先程のキャリアプランや志望動機よりも、より大きな夢や目標について問われています。従って実現可能かどうかはあまり問われていません。
この設問では以下のことが見られています。
・入社するにあたって、大きな目標や夢を持っている学生か
・本気でこの会社に入りたいと考えている学生か
ESを見る採用担当者ももちろん人間です。
ただ綺麗事を並べてそれっぽいことを述べている学生よりも、「本気で○○を成し遂げたい」「この会社で○○という課題を解決したい」と具体的に考えている学生の方が魅力的に映るのは当然です。
あまり綺麗に書こうとしすぎるのではなく、なぜこの会社を受けようと思ったのか、自分自身が成し遂げたい夢や目標は一体何だろうかといった自身の思いをそのまま記述しましょう。
回答例
私が成し遂げたいことは「地方から日本の魅力を高め続けること」です。私は大学3年間スノーボードサークルに所属しており、そこで篭りという経験をしました。篭りとは2ヶ月程雪山のホテルに住み込みで働きながら、空いた時間でスノーボードができる制度です。初めは「こんな何もない田舎でやっていけるのか」と不安でした。
しかし、地方には都会にはない人と人との繋がり、独特の文化や食事、澄んだ空気と温泉など無数に魅力があることを発見しました。一方で地元の方から「地方は過疎化が深刻なペースで進んでいる」とも聞きました。その時、将来はこうした失われつつある日本の魅力を高める仕事に携わりたいと考えました。都市部だけでなく地方にも多くの路線を持つ貴社であれば、沿線の開発やPRなどによりこの思いを実現できると考えました。これが私が御社で成し遂げたいことです。
自分自身の言葉で思いをストレートに伝えましょう。
先程も述べた様に、なぜその思いに至ったのか、きっかけは何か、は面接でも必ず問われる箇所になります。しっかりと事前に考えておきましょう。
自己PRの書き方
自己PRは、企業に自分をアピールできる絶好の場となります。しかし、ありきたりの内容では十分にアピールすることはできません。
企業の事業に関連した強みをアピールすることが必要になります。
企業がどんな人材を求めてるのかしっかり把握したうえで、企業ごとに自己PRを作成していきましょう。
自己PRの本質
評価される自己PRを書くには、まず「企業が自己PRを聞く意図」を知る必要があります。
企業が自己PRを聞く理由として以下の2点が挙げられます。
1自己分析がきちんとできているか
自己PRは自分の魅力を伝えるものなので、自分自身についてきちんと理解しておく必要があります。
企業からは、自己分析をしっかりとおこなっていて自分自身を理解できているかが見られています。
自己分析は就活の基本となります。
就活をスムーズに進めるためにも最も重視してやらなければならないものであり、自己分析ができていなければ就活への真剣度が低いと評価され、企業への志望度も低いと思われてしまいます。
2企業に合った人材かどうか
自己PRの内容から企業に合った人材かどうかみられています。
企業はただ優秀な応募者ではなく、企業の社風に合った人材を採用したいと考えています。
企業とのマッチ度が低いと、早期に退職してしまう恐れがあるため、適性があるか重要視しています。
逆に、それほど能力が高くなくてもマッチ度が高ければ、積極的に採用を考える企業も多いです。
就職後の成長力も重要視されているので、企業との相性が良いことはかなりのプラスポイントになります。
企業に就職して活躍しそうか、成長できそうかを見るために、自己PRは求められています。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
鉄道業界はどんな人材を求めているのか
鉄道業界で求められる人材の特徴は以下です。
- 真面目な人
- 継続力がある人
- 周囲を巻き込んで物事を進めることができる人
- 自ら課題を見つけ、解決できる人
鉄道会社はご存知の通り、分単位で電車を運行しています。そのため、時間にルーズな人、真面目に物事に取り組まない人は当然ながら採用されません。
また運転手や車掌になると10年、20年はその業務に従事することになります。従って、コロコロと物事をやめてしまう人は同じく敬遠されがちです。
一方で営業職を希望する場合は、主体的に考えて行動する人、周りを巻き込むリーダーシップがある人材が求められます。
自分が鉄道業界で何をしたいのか、どういったことを成し遂げたいのかを今一度よく考えてESに望みましょう。