【専門商社業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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総合商社より、一層専門的な知識が求められる専門商社業界。
企業数も多く、特定の分野に特化しているからこそ、自分のやりたいことや興味を持っている分野などが明確になるため、総合商社に比べるとESが書きやすいかもしれません。
実際に総合商社と専門商社の大まかな仕事内容は同じで、どちらも企業と企業の仲介を行います。
ただ総合商社は幅広い商材を扱う一方で、専門商社は特定の分野に絞った商材を取り扱っています。
もちろん事業規模で言えば総合商社の方が格段に大きいのですが、専門商社は特定の分野に強みを持った会社が多いため、世界的にも高い競争力を持っておりポテンシャルがあります。
一つの製品を極めたい、そのメーカーが好き、といった理由で選ぶ就活生も多い業界です。
人気の業界になるので、ESの段階から専門商社が求める人物像を知り、それに合わせたガクチカや自己PRを記述する必要があります。
この記事を最後までご覧頂き、突破できるESに仕上げていきましょう。
専門商社業界の採用動向や面接対策について詳しくは「専門商社業界研究」の記事をチェックしてください。
目次
専門商社業界のES設問例
1自己PR(共通)
2あなたが阪和興業でチャレンジしたいことは何ですか。(2021年 阪和興業)
3あなたの会社選びの基準を教えてください。(2019年 岩谷産業)
4 人物像4つ(統率力、適応力、協調性、先見性)のうち、 商社パーソンに一番求められるものは何だと思いますか。(2021年 住友商事グローバルメタルズ)
5今後日本の食をどのように支えていきたいか、ご記入ください。 (2020年 三菱食品)
設問例1:自己PR
はじめにどの企業でも分け隔てなく出される、自己PRについて見ていきましょう。
こちらの質問はESのみならず実際の面接でも度々聞かれます。そのため事前の対策は欠かせません。
継続力、統率力、分析力など強みは人それぞれですが、それをそのまま書くだけではPRになりません。
重要なのは「その強みが集団内でどの様に活きたか」です。
なぜなら、会社は常に集団で行動するからです。
誰からも助けを得ず、一人で黙々とする仕事は殆どありません。
従って、しっかりと自身の強みをグループ内で活かした経験を書く様にしましょう。
回答例
私には分析力があります。この強みが最も活きたのは、ゼミ活動で取り組んだ「商店街活性化プロジェクト」の経験です。
私は大学3年生の時にこのプロジェクトに参画しました。これは○○市の商店街と○○ゼミがコラボして作成したビールを、お祭りで販売するという活動です。私はマーケティング担当として、どのお祭りで販売するか、何本仕入れるかなどの戦略を考えました。初めは認知度も低く、売れない日々が続きました。そこで私は「各お祭りの来場者のデータを集めて、効率よく訴求する方法を考えれば売り上げを伸ばすことができる」と考えました。具体的には、子供が多く参加するお祭りはヨーヨーを付けて販売するなどの取り組みです。
その結果効率よく認知度を向上させる事に成功し、販売数も増加しました。以上の経験からも、私の強みは「分析力」であると言えます。
それが自分の強みであると言える根拠は何なのか、しっかりと考えた上で記述しましょう。
設問例2:チャレンジしたいこと
こうした自身の描くキャリア像について問われる質問も多くの企業で問われます。
この質問で採用担当者が知りたいのは以下の通りです。
- 自社の志望度は高いか
- 自社の職種、事業内容など理解しているか
- 高い志を持った就活生かどうか
- 長期的に自社で働く意思があるか
言い換えると上記の点をしっかりと理解し、高い志をアピール出来ればこの質問は難なく突破できます。
反対に、事業内容や職種を理解せずただ自分のやりたい事を述べている就活生は不採用となる可能性が高いです。軸を捉えた回答を心がけましょう。
回答例
私が貴社でチャレンジしたいことは「世界の架け橋である営業のプロフェッショナルとなり、社会を根幹から支える」です。
貴社の○○さんに行ったOB訪問がきっかけです。○○さんは何度も「世界中のあらゆる部品に使われる鉄鋼を、我々が上手く需要と供給を繋ぐ事で、円滑な社会活動を支えている」と仰っていました。それまで私は「世間の人から目に見える形で感謝される仕事をしたい」と考えていました。
しかしOB訪問を通じて「目に見えなくても、世界中の円滑な社会活動を支えることができる」ことを痛感し、自分も〇〇さんのように影で支えるプロフェッショナルになりたいと考えるようになりました。
現在は国内の鉄鋼需要の減少と中国企業の台頭により、御社も厳しい経営環境禍であると考えます。こうした状況を脱却するためにも、成長が期待出来る新興国の営業プロとなり、新たな収益の柱を獲得します。そして将来的には私の「社会を根幹から支える」という思いを実現したいと考えております。
新聞やホームページを参照して、企業研究も怠らない様にしましょう。
設問例3:会社選びの基準
こちらもよく聞かれる質問の1つです。
この質問に苦戦する就活生が多いのではないでしょうか。
この質問で企業側が見たい点は以下の通りです。
- 自分の軸を持って就職活動を行なっている人物か
- 自社の社風と合っているかどうか
「自分の軸」についてですが、多くの就活生は本音の所で「有名企業だから」「入社したら自慢出来るから」といった思惑があると思います。
企業側もそれを見抜いているため「そういったものに左右されない、軸を持った人物が欲しい」と考えています。
この質問が出される理由はそうした点にあります。
回答例
私の会社選びの基準は「自分がワクワクして働くことが出来るかどうか」です。これまでの人生を振り返った結果、この思いに至りました。
私は高校生の時に、それまで続けていた野球を辞めてバスケ部へ入部しました。大学生では未経験のスキーやボランティア活動に挑戦しました。こうした新しい事に挑戦する時、いつも私の中には「挑戦することへのワクワク感」があります。新しいことを始めるときのワクワク感は、それを続ける上でのモチベーションにも繋がり、もっと知りたい学びたい、そんな向上心をも刺激すると感じています。
貴社は、中期経営計画にも記載がある「ガス漏れ警報器をハブとしたIoTサービスの新事業」など、次世代技術を駆使して社会の安全を支えています。そうした次々と新事業に挑戦する貴社であれば、私自身も常にワクワクして働くことが出来ると考えます。以上が私の会社選びの基準です。
「○○という会社選びの基準の結果、貴社が適しています」という流れに持っていけるのが理想の形です。
設問例4:商社パーソンに一番求められるものは何か
独特な設問ですが、臆する必要はありません。なぜならば、「正解がない設問だから」です。
つまり少し的外れな回答をしても、そこに自身の思いや考えをしっかりと記述出来ていれば問題ありません。
自分の考えに説得力があるか、その点を意識しながら作成してみましょう。
この質問では以下のことが見られています。
- 商社パーソンにどの様な印象を抱いているか
- OB訪問等を通じて、入社後の仕事内容をイメージ出来ているか
回答例
私は「統率力」が商社パーソンに最も求められると考えます。理由は、様々な国で多様な価値観を持つ人達と仕事をするには「周りに信頼されつつ、的確な指示を出す必要がある」と考えるためです。
私自身いくつかアルバイトを経験しましたが、統率力のある店長がいるお店は社員のモチベーションも高く、良い雰囲気で口コミの評価も高かったです。一方で統率力がない店長の元では、社員もバラバラで些細なミスが頻発していました。こうした経験からも、統率力のあるリーダーが道筋を示すことで熱意の向上、効率化が出来ると気付きました。
実際にOB訪問を行った際、貴社の○○さんが「異国の地で様々な国の人と仕事をする上では、その人達をまとめ上げる統率力が欠かせない」と仰っていました。また貴社のインターンシップでも、採用担当の○○さんが「リーダーシップと行動力を兼ね備えた人材を今最も求めている」と仰っていました。
統率力があるということは、ビジネスにおいて非常に大切な力であり、チームで仕事をする上で欠かすことのできない能力だと感じました。以上のことから、最も統率力が求められると私は考えます。
OB訪問、オフィス訪問、自身の経験などを上手く組み合わせて説明出来ると、説得力が増します。
設問例5:日本の食をどの様に支えたいか
食品会社ならではの設問です。
この設問では「夢を語ってもらう」ことで、志望動機などからは見えない、やる気や仕事にかける思いなどを知りたいという企業の意図があります。
当たり前ですが、常々企業はやる気に満ちた就活生を採用したいと考えています。
なぜなら、やる気や夢を持っている学生は「採用後も辞めにくい」「常に高いモチベーションで働いてくれる」「大胆な発想や行動力を持っている」など、プラスとなる人材が多いからです。
この質問では以下のことが見られています。
- どんな夢を持っている人物か
- 自社への志望度は高いか
- 自分の思いを具体化出来る人物か
自分の思っていることを素直に、熱意が伝わるような内容になっているかを意識しながらまとめましょう。
回答例
私は日本の食を「食料自給率の向上」という視点から支えていきたいです。私にはコメ農家を営む祖父がいます。その祖父は「自国の食糧を自国でほとんど賄いきれないことは、大変恐れるべきことだ」と常々言っていました。
私自身この言葉をきっかけに、大学で食に関する問題について勉強しました。勉強していく中でカロリーベースでは38%しか自給出来ていないと知り、衝撃を受けました。
それから「安いという理由だけで外国産の商品を消費するのではなく、本当に良い物、日本の為になる物を消費してもらいたい」そして「地方の農家と都市部を繋ぐ役割を果たしたい」という二つの思いに至りました。
貴社は現在、ビッグデータとAIを活用した地方農家への需要予測・受注自動化を推進しています。そこで貴社の一員として地方の良質な農作物を効率よく都市部に繋ぎ、日本産農作物の流通量を増加させます。このように日本人に日本の農作物をより一層消費して頂くことで、食料自給率の向上を目指します。こうして日本の食を支えたいです。
定量的な数字を出すことで「しっかりと調べている」というイメージを持たせることが出来ます。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
専門商社業界はどんな人材を求めているのか
専門商社業界全体で求める人材の特徴としては下記が挙げられます。
- 状況を客観的に捉え、的確に分析出来る人物
- 一つの物事を長く続けることが出来る人物
- タフな精神力と体力を持ち合わせている人物
状況を客観的に捉え、的確に分析出来る人物
専門商社も総合商社と同じく一つ一つの事業が大きく、世界中の外的要因に左右されます。
日本経済だけでなく欧米の経済状況、世界中の政治情勢を常に気にしなければなりません。
そういった状況下で仕事をする上ではいわゆる「分析力」が欠かせません。
分析力がなく、闇雲に事業を進めても必ず失敗するからです。
ただこの分析力は一朝一夕で身につくものではありません。
学生時代から常に「なぜこういった状況になるのだろうか」「この課題を克服するためには、何が必要か」といった思考する癖がついていないと厳しいでしょう。
ESを書く際はその点を十分に留意して記述することをお勧めします。
一つの物事を長く続けることが出来る人物
はじめに述べた通り、専門商社は総合商社と異なり特定の分野に強みを持っているため、扱う商材の種類も比較的少ない傾向にあります。
従って「好奇心旺盛で、飽きっぽい性格なので様々な事業に挑戦したいです」という就活生は専門商社の企業から敬遠される可能性があります。
企業側もできれば入社後のギャップがなく、長く勤めてくれる人物を採用したいと考えているためです。
そういった就活生よりも「コツコツと一つのことを長く続けて来ました」「一度熱中するとずっとその事を考えてしまう性格です」といった人物の方が魅力的に映ることは容易に考えがつきます。
もちろん嘘をついて欺く必要はありませんが、今一度自分自身が専門商社という社風にあっているのか、入社後のギャップなどは生じないかを考えることが大切です。
タフな精神力と体力を持ち合わせている人物
総合商社、専門商社どちらにも言える事ですがとにかくハードワークです。
知らない国で仕事をする可能性がある点や、日々億単位の事業を動かす点など、ストレスが過度にかかる要因はいくつもあります。
そうした状況に直面した際、すぐに辞めてしまうのではなく、最後までやり抜く力を持つ就活生を求めています。
一方で、こうしたしんどさは「やりがいがある」という事実の裏返しでもありますので、そこまで恐れる必要はないでしょう。
もちろんその他にも見られているポイントは多数存在しますが、専門商社業界が特に求める人材は上記3点です。
ただ闇雲にESを書くのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのためには自分の何を強くアピールすべきか」をしっかりと意識してESに臨みましょう。