【地方銀行業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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業界の知名度や安定感、社会的地位の高さなどの理由から毎年多くの就活生が志望する「銀行業界」。
その中でも「生まれ育った地元に貢献できる」「地元から離れたくない」といった理由から、地方銀行を志望する学生も多くいると思います。
今回は地方銀行に絞って、業界の特徴、ESの書き方や求める人物像について紹介します。
地方銀行業界の採用動向や面接対策に関して詳しくは「地方銀行業界研究」の記事をチェックしてください。
目次
地方銀行業界の特徴
まずは業界の特徴をしっかりと理解しましょう。
地方銀行の特徴は以下の3点が挙げられます。
①地域に密着した営業基盤を持っており、地域の発展に寄与できる
②業務内容はメガバンクと大きく変わらないが、規模感は劣る
③少子高齢化や過疎化により、地方銀行の経営環境は年々厳しくなっている
ESなどで特筆すべき点は③の厳しい経営環境です。
理由としては、地方経済の低迷と日本銀行の低金利政策が挙げられます。
特に地方経済の低迷は深刻で、過疎化によって地元の企業が少なくなり、地方銀行の融資先が年々減少しています。
また人口減少に伴い、ATMや窓口業務の手数料収入が以前ほど見込めなくなっています。
もちろんメガバンクも同様の課題に直面していますが、大手銀行はアメリカや人口増加が著しい東南アジアでの事業展開も可能なので、日本での損失を海外で穴埋めすることができます。
対して地方銀行はほとんどの取引先が地元の企業であるため、突如海外展開をすることは非常に困難であり、いわば八方塞がりの状態であると言えます。
結果として、地方銀行は再編・合併を繰り返し、なんとか企業を存続させようとしています。
こうした理由から、地方銀行は今までにない発想を持った人材、新しいビジネスを興す人材を強く求めています。
このような特徴を理解した上で、自分の強みを志望動機などに活かしていきましょう。
次は、実際に地方銀行で出されたESの設問例を見ていきます。
地方銀行業界ES設問例
1学生時代に力を入れたこと(共通)
2池田泉州銀行で実現したいことと、そのためにご自身の強みや経験をどう活かせるかを教えてください(2018年 池田泉州銀行)
3会社選びで重視しているポイントをご入力ください(2021年 常陽銀行)
4京都銀行でどのような人へ成長していきたいのか(2021年 京都銀行)
5あなたはどのような人物か それが最もよくわかる過去のエピソードを教えて下さい。(2021年 あおぞら銀行)
設問例1:ガクチカ
まずはガクチカについて見ていきます。
「学生時代に力を入れたこと」はESのみならず面接でも度々聞かれるので、予め準備しておきましょう。
この質問では以下のことが見られています。
- 困難に直面した時、どういった行動をとる人物か
- 目的意識を持って、充実した学生時代を過ごしてきたか
- 主体的に行動できる人物か
中でも特に企業が見ている点は2つ目の目的意識です。
なぜなら何も考えずにただアルバイトをこなした、ただサークルに参加したという就活生は「社会に出ても与えられた仕事をこなすだけの人材になるのではないか」と懸念されるためです。
その様に捉えられないためにも、常日頃目的意識を持って物事に取り組む姿勢が大切です。
回答例
私が学生時代に力を入れたことは「サッカー部の会計責任者」です。私は大学の4年間をサッカー部のサポートメンバーとして活動しました。中でも、幼い頃から銀行業界で働くことを夢見ていた為、実務的な知識を付けられる会計担当に立候補しました。
業務内容としては、OBからの支援金の回収、収支明細の作成、備品の購入などです。しかし年々OBからの支援金が減っているという課題がありました。そこで私は「打開策を探るためにも、支援金が減っている理由を探ろう」と考えました。
その結果、以下の2点が原因であると考えました。
・新型コロナウィルスにより、大規模なOB会が開催出来ていない
・支援金の存在を知らないOBが多数いる
次に現状を打開するため「自作したサッカー部の紹介VTRと支援金を送付できるQRコードをメールで送信する」という施策を行いました。
その結果、支援金の存在を多くのOBに周知できた上に、多くの支援金が集まりました。
以上が、私が学生時代に力をいれた経験です。
「目的意識を持って取り組み、困難を克服した」という点を全面にアピールしましょう。
設問例2:実現したいこと、そのために強みや経験をどう活かせるか
こちらの質問では入社してからのビジョンと、それを達成するためにどういった強みや経験があるのかが問われています。
理想とするキャリア像、自己PR、ガクチカの3つが1つの質問で問われており、尚且つ400字の指定があるため簡潔で分かりやすい回答が求められます。
伝えたいことを全て文中に詰め込むのではなく、採用担当者に「会って色々と質問したい」と思わせる書き方を意識しましょう。
回答例
私が貴行で実現したいことは「地元のお祭りの活性化」です。私は大学の4年間、お祭りで屋台を運営する「的屋」のアルバイトに取り組みました。「地元○○市の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いで大小様々なお祭りに参加し、非常にやりがいを持って取り組んでいました。
しかし新型コロナウイルスの影響により、地元のお祭りは軒並み中止となりました。中には「少子高齢化も進んでおり、このまま毎年お祭りを続ける意義が無くなってきている」と話す主催者もいました。それでも私は「小さな○○市の魅力を知ってもらい、関係人口の増加に繋げるためにはお祭りが欠かせない」と常に考えていました。
そこから貴行に入社して○○市の的屋や神社を支援し、活性化に繋げたいという思いに至りました。この思いを実現するため、アルバイトで培った地元の方々との強い繋がり、そして強みである「周囲の人を巻き込む力」を活かします。
400字という制限がある中で、全ての情報を記述することは難しいです。
採用担当者が「直接聞いてみたい」と思う様なポイントを文中に散りばめましょう。
設問例3:会社選びで重視しているポイント
こちらの質問では、あなたがどういった軸で就職活動を行っているかが問われています。
企業としては「とにかく銀行業界に入社したい」という就活生より「自分の強み、経験、価値観と合った企業に入社したい」と考えている就活生を採用したいと考えています。
企業と就活生のミスマッチを防ぐためにも、改めてご自身が持つ「就職活動の軸」について考えましょう。
回答例
私が会社選びで重視しているポイントは「地元の人口増加と活性化に貢献出来る企業であるか」です。
私は生まれてから21年間、地元○○町に住んでおり、自治会長の息子として様々なイベントに参加しました。しかし年々地元イベントの参加者は減り、空き家も目立つ様になりました。このまま進めば、20年以内に○○町は消滅するとの調査結果も出ています。そうした中、私は「どうすれば○○町を活性化することが出来るか」と考えました。その結果、定住人口の増加が最重要であると至りました。
貴行は住宅購入時のローン負担を軽減する「ゆとりライフ」というプランを販売しており、○○町への移住を促進しています。○○町におけるこうした取り組みを行なっているのは、貴行しかありません。
以上の理由から私の就職活動における軸は「地元の人口増加と活性化に貢献出来るか」であり、この思いを実現出来るのは貴行であると考えます。
「私の就職活動における軸は○○です。そしてそれは貴行とマッチしています」という文章構造であれば、採用担当者も納得感が強くなります。
設問例4:どのような人へ成長したいか
この質問ではあなたの成長意欲・上昇志向について見られています。
初めに述べた通り、現在地方銀行は低金利や地方経済の停滞により厳しい経営環境にいます。
こうした状況下で今後地方銀行が存続していくためには、若い人のアイデアやチャレンジ精神が欠かせないと採用担当者は考えています。
そうした背景もあり地方銀行のESや面接では、自身のビジョンが度々問われています。
上記の様な意図をしっかりと汲み取って、ESを完成させましょう。
回答例
私は貴行で「次世代技術に強く、会社のDX化を先頭で推進する人材」へ成長したいです。
私は大学で情報学部に所属し、プログラミングやシステム設計について学びました。一方で、銀行業界におけるデジタル化の疎さについても学びました。そこで、例えば貴行の窓口業務におけるペーパーレス化や領収書、請求書のデジタル化といったDX化を推進します。業務を効率化することで、よりお客様に注力出来る環境を整えることができると考えます。
同時に私は「生まれ故郷である○○市の発展に貢献したい」という思いがあります。これらの思いを実現出来るのは貴行であると考えます。
貴行のIT戦略室の一員として、上記に加えて将来的に流通が予想される仮想通貨の活用、フィンテックの推進に取り組みます。そして貴行のDX化を推進する人材へと成長します。
成長意欲をアピールすることは大切です。
抽象的なものだけでなく、具体的に何に取り組みたいかを記述しましょう。
設問例5:あなたはどのような人物ですか
こちらの質問では、あなたの人柄、性格、強みと弱みなどがまとめて問われています。
確かにあなたを400字という限られた文字数で全て説明することは難しいでしょう。
それでも「何かこの人には光るものがある」と採用担当者に思ってもらえる様なESを書く必要があります。
ご自身の経験を複数記述するのではなく、1つ、多くても2つに絞り、まとめましょう。
回答例
私は「困難に直面した際、より力を発揮できる人間」です。この性格が最も現れたのは、大学4年間取り組んだラグビー部の経験です。
私は大学から未経験のラグビーに挑戦しました。入部当初は人より体が小さかったため「ラグビー部に入っても試合に出れるはずがない」と言われました。その言葉通り、1年目は試合に出れませんでした。
しかし私は壁に直面した際、必ず「この壁を乗り越えたらどんなにカッコいいか」と想像し、目標から逆算して今すべき事に注力します。ラグビー部においても「まずは体力と筋肉をつけること」と考え、練習後は必ず筋トレを2時間行いました。ある程度体力がついた後は、技術を磨くことに専念し、少しずつ試合で起用される様になりました。結果として4年時にはレギュラーを獲得することが出来ました。
上述した「困難に直面した時こそ逆算して考え、常に達成した時のことを想像する」ことを貴行で最大に活かし、売上に貢献します。
具体的なエピソードを交えて記述することで、読み手は納得感が増します。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
業界はどんな人材を求めているのか
地方銀行が求める人材の特徴は大きく2つあります。
- 該当地域に思い入れがあり、本気で地域の発展に貢献したいと考えている人材
- 困難に直面した際、自ら解決策を考えて実行できる人材
該当地域に思い入れがあり、本気で地域の発展に貢献したいと考えている人材
地方銀行はメガバンクや全国展開する企業とは異なり、営業基盤や取引先は基本的に該当地域となります。
従って、その地域に強い思い入れが無ければ企業側も「採用しても辞退されるのでは?」と考えてしまいます。
一方で企業側も「全国規模で優秀な人材を確保したい」と考えているため、必ずしも地元である必要はありません。
ただし、採用担当者を納得させる理由が必要となります。
従って、改めて「なぜその企業で働きたいのか」「その地域を選んだ理由は何か」を深く自身に問うことが重要です。
困難に直面した際、自ら解決策を考えて実行できる人材
初めにも述べた通り、現在地方銀行業界は厳しい経営環境です。
長引く低金利、地元企業の減少、少子高齢化に伴う利用者の減少など、挙げると様々です。
その様な経営環境で仕事を行うので、当然幾多の困難に直面します。
その際に、すぐに正解を求めるのではなく「何か良い解決策はないか?」と自ら思考する人材を強く求めています。
そして将来的には、そうした社員に会社を引っ張って欲しいと考えています。
もちろんその他にも見られているポイントは多数存在しますが、地方銀行業界が特に求める人材は上記2点です。
ただ闇雲にESを書くのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのためには自分の何を強くアピールすべきか」をしっかりと意識してESに臨みましょう。