【総合商社業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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年収の高さ、立派な本社ビル、社会的ステータス、魅力的な仕事内容など、様々な理由で常に就活生から高い人気を誇る総合商社業界。
そんな人気業界である「総合商社」ですが、実際の採用試験倍率はそこまで高くないというデータがあります。
少し前のデータになりますが、三菱商事は37倍(2016年卒)、伊藤忠商事は74倍(2015年卒)という結果が出ています。
倍率の数字だけ見ると高く感じますが、雪印メグミルクは334倍(2019年卒)、東映は149倍(2019年卒)など、総合商社よりも倍率が高い企業はたくさんあります。
総合商社と聞くと、「どうせESを提出しても自分は通らないだろう」「そもそも仕事内容がわからない」「入社後何をするのかイメージがつかない」などの印象から、多くの就活生が最初から諦めてしまい、採用倍率も比較的低いというギャップが生じているのです。
これは言い換えるとチャンスでもあります。
多くの就活生が最初から諦めている中、しっかり対策したESを作成することで、十分採用される可能性があります。
この記事を最後までご覧頂き、突破できるESに仕上げていきましょう。
また、総合商社業界の採用動向や面接対策など、詳しくはコチラの記事をチェックしてください。
目次
総合商社業界のES設問例
1自己PR (共通)
2 あなたのこれまでの人生において、最も印象に残っている「決断の場面」を紹介してください。あなたは何に悩み、最終的にどのような考えに基づき決断を下したのか、また、決断の結果何が起きたのかについて記述してください。(2020年 三井物産)
3あなたは将来どの様な人間になりたいですか(2017年 丸紅)
4あなたが大学入学以降、チームで取り組み成果を上げた経験について教えてください。(2021年 伊藤忠商事)
5あなたがリーダーシップを発揮した経験の中で、最もインパクトの大きなものについて、関係者とどのように信頼関係を築いたのかという点を含めて、具体的に記してください。(2017年 三菱商事)
設問例1:自己PR
こちらの質問はいわゆる「ガクチカ」と並んでよく出題される設問です。
ESのみならず、実際の面接でも頻繁に聞かれますのでしっかり対策しておきましょう。
こちらの質問では以下のことが見られています。
- あなたの強みと自社の社風があっているか
- プレゼン能力に長けているか
ただ強みを述べれば良いというものではありません。「PR」とつく以上、説得力をもって述べる必要があります。
そのためには、強みがどの様に活きたのか、今後も活かせることができるのか、を意識して記述しましょう。
回答例
私は「一度やると決めたことは、必ず最後までやり遂げる人間」です。
この性格が最も現れたのは高校二年生の時です。私は当時サッカーの名門校である○○高校サッカー部に所属していました。そのサッカー部では推薦組と一般入部組に分かれており、試合に出場するのは殆ど推薦組でした。私は一般入部組でしたが「絶対に1軍メンバーとして試合に出場して、活躍する」と決め、自主トレに励みました。
具体的には、毎朝2時間早く練習会場にきて自主トレする、周りに1軍に行く事を宣言し続ける、失敗したら必ず監督にフィードバックを聞きに行く、などの取り組みを毎日行いました。初めはチームメイトにも「そこまでしても推薦組には叶わない」と言われていました。ただ自分の信念を貫き、毎日自主トレを続ける事で少しずつ周りからの見る目が変わりました。そして最終的には試合で結果を残し、1軍メンバーに入ることが出来ました。
この私の性格を御社でも活かし、困難なプロジェクトであっても必ずやり遂げます。
どういった思いで取り組み、どういった経緯であなたの強みが形成されたのか、を詳細に記述しましょう。
設問例2:あなたの「決断の場面」を教えて下さい
あなたのこれまでの人生において、最も印象に残っている「決断の場面」を紹介してください。あなたは何に悩み、最終的にどのような考えに基づき決断を下したのか、また、決断の結果何が起きたのかについて記述してください。(2020年 三井物産)
かなり特徴的な設問になります。
企業側としては「入社後、若い年次のうちから様々な決断をして貰う事になる。その際自身で思考して、ストレスのかかる決断を出来る人材かを図りたい」という意図があると考えることができます。
従って、このESを突破するには上記の事が出来る人材だとPRする必要があります。
単に「出来ます!」と述べても採用担当者は信じられないので、信じるに値する根拠をしっかりと記述しましょう。
回答例
私の人生で最も印象に残っている決断は「ワーキングホリデーに挑戦するために休学を選択したこと」です。この決断は大学4年生の時に行いました。
私は他の人と同じ様に4年生の春に就活を行い、卒業式を迎えて春から働こうと思っていましたが、将来について考えるうちにある考えに至りました。それは「自分の語学力を海外で高め、グローバルに活躍できる人材になりたい。海外展開に力を入れたビジネスに挑戦したい」という思いです。
元々入学当時からこの思いは持っていましたが、4年間体育会系の部活に所属していた事もあり実現出来ずにいました。「ここでレールを脱線していいのか」「他の人と異なる選択をして後悔しないのか」と自信のなさや不安からとても悩んでいました。
しかし私は昔から大切にしている「やりたいと思った事には挑戦する」という自分の思いに従って、大学休学という決断を下しました。
この決断の結果、実務的な語学力の向上、外国人の友人、世界で進むビジネスの知識などを得ることができました。また自分の人生に自信を持つことができました。この経験で得た力を貴社でも活かします。
質問の意図をしっかりと汲み取りましょう。
常に「何が聞かれているのか」を考えることが重要です。
設問例3:どの様な人間になりたいか?
将来について問われる質問の多くが「キャリアについて」です。
例えば、どの職種につきたいか、会社で何を成し遂げたいか、などを聞かれることがほとんどです。
しかしこの設問では「どういった人間になりたいか」という人間性について問われています。
この類いの質問では、まず目標とする人物を一人決めましょう。
そして「○○という思い(経験)から○○の様な人物になりたいです」と具体的に記述する事で、イメージを持たせやすくなります。
ダラダラと何を言いたいか分からない文章になるのは避けましょう。
具体化する事でイメージを抱かせることが重要です。
回答例
私は将来「常に新しいことに挑戦し続ける人物」になりたいです。この思いに至ったのは、私の父がきっかけです。
私の父はベンチャー企業に勤める50歳です。世間一般で50歳と聞くと、頭が硬い、変化を受け入れられないなどマイナスなイメージを持たれることが多いと思います。ただ私の父は反対で、次々と新しい事業に取り組んでいると聞いています。また仕事面だけでなく私生活でも、次世代技術(VRゴーグル、自動運転など)を積極的に活用したり、新しい趣味としてスキーを始めたりしています。
こうした父を見て「常に時代の流れに身を合わせ、変わる事を恐れず、新しいアイデアに挑戦し続けたい」と考える様になりました。
これからAIやIT技術の進歩により、変わらない会社や人材は淘汰されていくと考えます。私自身が御社の一員として活躍するためには、父のマインドを吸収して新しい事に臆せず挑戦することが不可欠であると考えています。以上の理由から私は「常に新しいことに挑戦し続ける人物」になりたいです。
身近な人、あるいは尊敬する起業家など具体的な一人を出すとイメージが掴みやすくなります。
設問例4:チームで成果を上げた経験
会社は数多くのチームで構成されています。部内では一課、二課、部外ではプロジェクトチームなどです。
反対に一人で黙々とする仕事は事務職でない限り少ないでしょう。
従って、そういったチームの中で能力を発揮できる人物かを採用担当者は知りたがっています。
この質問では以下のことが見られています。
- チームで能力を最大限発揮できる人物か
- チーム内で自身の役割をきちんと遂行できる人物か
回答例
私がチームで成果を上げた経験は「学園祭の集客活動」です。私の大学が運営する学園祭は九州一の来場者数を誇ります。私は運営チームに属しており、その中でも広報担当のリーダーとして、二十人をまとめる立場にありました。
その当時、2015年までは来場者数も右肩上がりでしたが、それ以降は年々減少しているという課題がありました。私はリーダーとして何とかしなければならないという責任感から毎日一人で解決策を探っていました。そんなある日、後輩の一人から「一人じゃなくて二十人で考えた方が良いアイデアが生まれます」と言われました。その一言で私は目が覚め、チームとして成果を上げる事を目指しました。
具体的には、街中で認知度のヒアリング、作成したCMを流す媒体の営業、来場者へのアンケートなどを実施しました。アイデア担当、営業担当など得意な仕事毎にグループを分ける事で、効率化にも成功しました。結果として、私が担当した学園祭では4年ぶりに来場者数を増やすことができました。これがチームで成果を上げた経験です。
必ずリーダーである必要はありません。
チーム内で自分がどのような働きをしたのか、どのような役割で動いたのかを思い出し、まとめましょう。
設問例5:リーダーシップを発揮した経験
あなたがリーダーシップを発揮した経験の中で、最もインパクトの大きなものについて、関係者とどのように信頼関係を築いたのかという点を含めて、具体的に記してください。(2017年 三菱商事)
一見リーダーシップの経験を書けば良いと思われますが、よく見ると「どの様に信頼関係を築いたのか」が問われています。
つまり単にチームをまとめただけでなく、周りからどの様にして信頼されたのか、その経緯が必要です。
この質問では以下のことが見られています。
- 周囲から信頼される人物か
- リーダーとしての素質を持ち合わせているか
回答例
私がリーダーシップを発揮したのは「留学先で異文化交流コミュニティを設立した時」です。私は大学4年生の時に、イギリスへ留学しました。留学先では様々な国から来た20人程のクラスに属しました。
しかしそのクラスは英語がまだ話せない人が多い初級であったため、交流が全くありませんでした。私は「せっかく留学に来たのに、英語が拙いという理由で交流しないのは勿体ない」と考えました。
文化が違っても信頼されるには自己開示が不可欠だろうと考え、授業後必ず一人一人と会話し、自分の育ちなどを話しました。その結果、少しずつ信頼される様になり、全員とSNSの交換に成功しました。
そして全員が気軽に交流できるWebサイトを作成しました。初めはクラスメイトすら乗り気ではありませんでしたが、少しずつ認知度を広げ最終的には他クラスも含めた六十人程のコミュニティになりました。以上がリーダーシップを発揮した留学先での経験です。
どういった流れで信頼される様になったのか、難しいかもしれませんが再度考察しましょう。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
総合商社業界はどんな人材を求めているのか
総合商社業界全般的に求める人材の特徴として下記が挙げられます。
- 周りを巻き込んで物事を進めることができる人物
- 体力、精神的なタフさ
- 行動力とチャレンジ精神を兼ね備える人物
周りを巻き込んで物事を進めることができる人物
皆さんがイメージする通り総合商社勤務になると、世界中で億単位の案件を進めなければなりません。
また専門商社と異なり、取り扱う商品も幅広いため様々な外部の人を巻き込んで仕事を進める必要があります。
こうした仕事の特性上自分一人でテキパキと仕事をするのではなく、異文化・異言語、仕事が早い・遅い、年上・年下など多種多様な人間を巻き込む力が強く求められます。
そうした能力は一朝一夕で身につくものではないので、学生時代からそういった経験を積んできたのかが採用担当者に見られます。
体力、精神的なタフさ
総合商社はとにかくハードワークです。
知らない国で仕事をする可能性がある点や、日々億単位の事業を動かす点、海外とのやり取りがあるため勤務時間が遅くなりがちな点など過度なストレスがかかります。
そのためすぐギブアップをせず、最後までやり抜く力を持つ就活生を求めています。
ただこうしたキツさは「やりがい」の裏返しでもあるため、そこまで恐れる必要はないでしょう。
行動力とチャレンジ精神を兼ね備える人物
どの業界や会社でもこの二つはよく耳にしますが、総合商社においては特に重要視されます。
まず、世界中で勤務する可能性があるため「来月からヨーロッパに行ってくれ」と言われた時でも「とにかくやってみよう!」というチャレンジ精神を持っていないと仕事についていけません。
また現在、総合商社は次々と新しいビジネスに取り組んでいます。
例えば三菱商事が東南アジア諸国におけるスマートシティ開発を推進していたり、住友商事は、ICT(情報通信技術)による予防医療・診療サービス事業に力を入れています。
この様に会社自体がチャレンジ精神を持って様々な事業を進めているため、そうしたマインドは必ず必要になるでしょう。
もちろんその他にも見られているポイントは多数存在しますが、総合商社業界が特に求める人材は上記3点です。
ただ闇雲にESを書くのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのためには自分の何を強くアピールすべきか」をしっかりと意識してESに臨みましょう。